新しい車への乗り換えを考えたときに、現在自分が乗っている車を売却しようと考える人もいるかと思います。
実は車を売却する際には、税金がかかる可能性があるということをご存知でしょうか。購入のときに税金がかかることは広く知られていますが、売却するときにも税金がかかることは意外と知られていません。
そこで今回は、車を売却する際に必要となる税金について、詳しく解説したいと思います。この記事を読めば実際に車を売却するときになって、税金のことで慌てることもなくなるでしょう。
車の売却を考えている人は、ぜひ最後まで読み進めてみてください。
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目次
車の売却時に支払う可能性のある税金は?
車を売却するときに支払う可能性のある税金は、「自動車税」・「所得税」・「消費税」の3種類となっています。
ここからはそれぞれの税金について、その概要などを詳しくみていきましょう。
自動車税
自動車税とは、その年の4月1日時点の車の保有者に対して課税される税金であり、各都道府県に納めます。自動車税の税額は、所有している車の用途(自家用・営業用)・総排気量などによって決められています。
自動車税は、用途では自家用車の方が税金が高く、総排気量は排気量が大きいほど税額は高く設定されています。
また、年数を経過した車の場合は、税額が加算されるといったルールもあります。(ガソリン車のケースでは、新車新規登録から13年を超過すると税額が上がる)
自動車税は、当年の4月1日から翌年の3月31日までの1年間分の税金を、当年の5月末頃までに前払いで納税することになっています。
4月1日時点の車の保有者が納税対象となるため、たとえば4月に車を売却した場合にはすでにその車を保有していなくても、一旦は1年間分の税金を4月1日時点の所有者が納付する必要があります。
ただし、支払った自動車税は月割で還付される制度があるため、売却した翌月分から翌年3月分の自動車税額が買い取り価格に含まれて、買い取り業者から返金されることが多いです。
そのため、実際に損になるといったことは少ないでしょう。
所得税
所得税とは、個人が稼いだお金(所得)に対して課税される税金です。
車の売却時には、売却することによって生じた利益が所得とみなされます。なお、売却対象の車の用途が通勤や買い物で利用するなど「日常利用」の場合には、売却利益が出ていても所得税を納税する必要はありません。
一般的な会社員であれば、給与所得にかかる所得税額は給与から天引きされたり、年末調整で処理されます。
しかし、個人の車の売却は会社とは関係がありませんので、車の売却によって所得税を納税する必要があるときには、自分で確定申告をする必要がありますので注意してください。
消費税
商品やサービスを購入したときに、課税される税金が消費税です。
車の売却時には事業者として売却し、かつその事業者が納税義務対象者の場合に、その事業者に対して課税がなされます。そのため、個人が車を売却するときには、消費税を納付する必要はありません。
ただし、売り手側が事業者でありかつ納税義務対象者の場合には、その事業者は消費税を納税する義務が生じますので、売り手側が受け取った買い取り価格の中には、消費税が含まれているという形になります。
車の売却で所得税が課せられるのはどんなケース?
車の売却によって発生する所得税ですが、売却をおこなった際に必ず発生するというわけではありません。一定の条件を満たしたときに、所得税が課税されることになります。
ここでは、車の売却時に所得税が課税されるケースについて、具体的に解説したいと思います。
レジャーや趣味に使用していた車を売却した場合
レジャーや趣味に使用していた車を売却した場合には、その売却利益が譲渡所得とみなされ課税されることになります。
個人が売却をして得た譲渡所得には、50万円の特別控除が受けられるため、所得額からこの50万円を差し引いた金額に対して課税がなされることになります。
たとえば、購入額が200万円で売却額が280万円だった場合には、売却利益が80万円生じたことになります。この売却利益から、特別控除額を差し引いた30万円に対して課税されるということになります。
なお、特に趣味に使用していた車は、希少価値があったりプレミアムが付く可能性もありますので、譲渡所得が発生する可能性が高いといえるでしょう。
業務に使用していた車を売却した場合
主に仕事のために利用されていた車を売却するケースでも、その売却利益が譲渡所得とみなされるため課税対象となります。
仕事のために利用という条件ですが、具体的には事業として人や荷物を運搬することに利用されている場合が、その条件に当てはまるといわれています。
車の売却額が購入時の金額を上回った場合
さきほどもふれたように、売却額が購入額を上回った場合に、その利益が譲渡所得とみなされて所得税がかかります。しかし、売却利益が発生すれば必ず所得税がかかるというわけではありません。
具体的には、譲渡所得はつぎのように算出します。
「売却によって得られた利益から、その車を手に入れたり売却したりするのにかかった費用と特別控除(50万円)を差し引き、減価償却費を考慮」して求めます。
また、車の所有期間によっても課税額が変わってきます。5年を超えて所有していた車を売却する場合には、所得金額の二分の一が課税所得となります。
たとえば、100万円で購入した車を7年後に200万円で売却した場合には、課税所得は以下のとおりとなります。
- 200万円-100万円-50万円(特別控除)=50万円(譲渡所得)
- 50万円÷2=25万円(課税所得)
通勤用に使用していた場合には所得税は課されない
売却対象の車を、通勤や買い物・通勤通学の送り迎えなどで利用していた場合には、「日常利用」とみなされるため、所得税の課税対象とはなりません。それは、生活用動産の譲渡による所得は非課税と決められているためです。
生活用動産とは、生活するために必要とされる動産(不動産以外の財産)のことであり、「日常利用」の車は生活用動産とされています。
自動車税が還付されるケースもある
前述のように自動車税は1年間分の税金を前払いで一括払いしています。そのため、当該年度中に売却することにより余分に支払ってしまった税金は、買い取り業者経由によって月割の金額で還付を受けられる制度があります。
実際の自動車税の還付金額は、以下の計算式によって算出することができます。
年税額(支払税額) ÷ 12カ月 × 名義変更または抹消登録の翌月から3月までの月数(100円未満は切り捨て)
たとえば、1年あたりの自動車税額が3万6,000円の車を、7月に売却した場合には還付される自動車税は下記のとおりとなります(名義変更または抹消登録の翌月から3月までの月数は、8カ月となる)。
3万6,000円 ÷ 12 ☓ 8 = 2万4,000円
車を売却したら確定申告は必要?
車を売却したときには、確定申告をおこなう必要があるかと気になっている人もいるかと思います。
ここでは、車を売却した場合に確定申告が必要となる具体的なケース、および確定申告をおこなう時期やその申告方法について、詳しく解説します。
確定申告が必要なケース
前述のとおり、車を売却したことにより譲渡所得が得られた場合には、確定申告をおこない所得税を納税する必要があります。
繰り返しになりますが、譲渡所得が得られるケースとは、下記の条件となります。
- 売却利益(売却額 - 購入額)が50万円以上であること
- 売却対象の車の用途が、「日常利用以外(趣味・レジャー・業務で利用している)」であること
上記のケースに当てはまる場合には、確定申告が必要となりますので注意が必要です。確定申告をしないとならない場合には、あらかじめ決められた期日までに忘れずにおこないましょう。
確定申告をする時期や方法
次に確定申告をおこなう時期や、その申告方法について紹介します。
確定申告とは、納税者が自分で所得税額を計算して、税務署に申告・納付することをいいます。1月1日から12月31日までに生じた所得から所得税額を計算し、翌年の2月16日から3月15日までの期間に税務署に申告する必要があります。
そのため、その年に車を売却して譲渡所得が得られた場合には、譲渡所得を得た翌年の2月16日から3月15日までに申告する必要があります。
申告がこの期日より遅れてしまうと、無申告加算税や延滞税がかかる場合がありますので、期日に遅れないように十分余裕を持って対応しましょう。
確定申告の方法としては、自分で所得税額を計算したあとに所定の確定申告書に記載のうえ、確定申告書をあらかじめ決められた期間内に管轄の税務署に送付することになります。
税務署への送付方法としては直接持参する方法・郵送する方法・e-TAXにより電子申告する方法の3つがあります。
この3つの方法の中から、自分にもっとも適した方法で、税務署に確定申告書を送付しましょう。
次に所得税額の計算方法について、解説します。所得税額の計算は、以下の5つのステップでおこないます。
- 所得を10種類に分けて、それぞれの所得金額を計算する
所得は、給与所得や一時所得・雑所得など全部で10種類に分けられています。このうち、車を売却したときに得られる所得は「譲渡所得」となります。そのため、まずはこの譲渡所得を計算します。具体的には、「総収入額-(取得費+譲渡費用)ー特別控除額(最高50万円)」で譲渡所得額を算出します。
- 各所得額を合算して、課税標準を計算する
課税標準とは、税金の課税対象となる所得の合計額をいいます。車を売却した場合には、さきほど計算した「譲渡所得」と同額となります。
- 課税標準から所得控除を差し引いて、課税所得金額を計算する
所得控除としては、基礎控除・配偶者控除・社会保険料控除・生命保険料控除・医療費控除などがあります。課税標準からこれらの所得控除額を差し引き、課税所得金額を算出します。
- 課税所得金額に税率を掛けて所得税額を計算
課税所得金額に、あらかじめ定められた税率をかけて、所得税額を計算します。所得税の税率は、課税対象の金額を数段階に区分して、上の段階に進むにつれ高い税率によって計算されるしくみとなっています。
- 所得税額から税額控除を差し引いて申告納税額を計算
所得税額から税額控除を差し引いて、最終的な申告納税額を算出します。税額控除には、住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)や配当控除などがあります。
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車の売却に関わる税金についての注意点
ここまで車の売却時にかかる税金の概要や、計算方法・支払方法などについて解説してきました。
ここからは、車の売却に関わる税金について、特に注意すべきポイントを紹介したいと思います。
売却予定の車の使用用途によって課税される
所得税は売却予定の車の使用用途によって、課税されるかされないかが決まります。
さきほども解説したように、売却予定の車が「日常利用(通勤用・買い物用など)」以外の用途、つまりレジャーや趣味に利用している場合や、業務用として利用されている場合には、所得税がかかる可能性があります。
自動車税が未納だと車の売却ができない
自動車税が未納の場合には、原則その車を売却することはできません。
車の売却の際には自動車税を納めたことを証明する「納税証明書」が必要となるためです。この納税証明書は、自動車税を納税したときに領収書と一緒に発行されます。
車の売却時に必要となるため、この納税証明書はなくさないように大切に保管しておきましょう。
なお、万が一自動車税の納付期限を過ぎてしまった場合には、未納となっている税金を後日支払うことが可能となっています。
しかし、その際には遅延金が発生することもありますので、自動車税を納付する各都道府県に念のため確認をすると良いでしょう。
売却する車が軽自動車の場合還付はされない
普通車であれば、自動車税が還付される可能性がありますが、軽自動車の場合には軽自動車税は還付されませんので、注意しましょう。
軽自動車では還付されない理由は、自動車税と軽自動車税の税金のしくみが異なるためです。
普通車の自動車税は、前述の通りその年度1年間分の税金を一括で前払いするしくみとなっています。月割で税金が還付される制度もありますが、軽自動車税は月割課税(還付)の制度がないため、還付されません。
軽自動車では、4月1日に車を所有している場合には、4月2日以降に売却しても軽自動車税を全額納付する必要があり、月割で還付をされることもありません。
そのため、軽自動車を売却する場合には、その年の3月中に売却をおこなうことをおすすめします。
個人売買にはトラブルも多い
通常、車を売却する際には、買い取り業者に依頼することが多いと思います。
業者に依頼するほかには、個人間で車を売却することも可能です。しかし、以下のようなデメリットがあり、トラブルの原因にもなる可能性があるので注意が必要です。
- 名義変更がされない可能性がある
個人売買の場合は、車の名義変更を買主が行うことになります。そのため、名義変更を忘れてしまうというリスクがあります。
名義変更を忘れてしまうと、自動車税の請求が前のオーナーである売主に来てしまったり、買主が交通事故や交通違反を犯してしまうと違反点数や罰金が売主の方に行ってしまう恐れがあります。
- 瑕疵担保責任を問われる可能性がある
個人売買で車を売却する際には、車両に関する細かな情報をできるだけ買主に伝えることが重要となります。
車の修復歴や事故歴などを買主側に伝えなかったことにより、次のオーナーである買主が車の不具合による深刻なトラブルに巻き込まれてしまう恐れがあります。
売主が車に欠陥などの問題があることを知っているにも関わらず、買主に伝えず売却したときには、売却のキャンセルや売却代金の返還請求をされてしまうことも考えられます。
そのため、売却する車については良い情報も悪い情報も全て、買主側に共有しておく必要があります。
自動車重量税は返金されない
自動車にかかる税金としては、ほかにも自動車重量税があります。自動車重量税は、車検のたびごとに納付が発生する税金であり、車を売却した際に返金されることは基本的にはありません。
そのため、車検後にすぐに車を売却してしまうと、自動車重量税を無駄に支払ってしまうことになり、損をすることになってしまいます。
売却を検討している場合には、車検を行う前に車を売却してしまうことをおすすめします。
リサイクル預託金が返金される
車を売却したときには、税金とは別に「リサイクル預託金」が返金されます。
「リサイクル預託金」とは、車の廃棄処分のための費用であり、平成17年から施行されている自動車リサイクル法によって決められています。
車の廃棄の際に発生する廃棄費用が高騰したことにより、不法投棄などが多発し大きな社会問題となりました。
そのため、車の廃棄費用について車の所有者にもその費用を負担するよう義務付けられることになり、この預託金が生まれました。
なお、「リサイクル預託金」は、その車の最終的な所有者が支払うことになっています。そのため、車を売却したときには、この預託金が返金されることになります。
意外と忘れてしまうため、車の売却のときには確認することをおすすめします。
自家用車の売却に関して税金がかかることはほぼない
ここまで、車を売却したときに発生する可能性がある税金について詳しく解説してきました。前述のとおり、車の売却時には、「自動車税」・「所得税」・「消費税」の3種類の税金がかかる可能性があります。
しかし、「自動車税」については、売却の翌月から翌年3月までの期間で月割にした金額が、買い取り価格に含まれて買い取り業者から返金されるため、実質余分な税金がかかることはありません。
また、「所得税」については日常利用以外の用途で利用し、かつ売却利益が50万円以上発生しないと税金はかかりません。「消費税」も、個人で車を売却する際においては税金はかかりません。
そのため、個人で車を売却するときには、税金がかかることはほとんどないといえるでしょう。
まとめ
今回は、個人で車を売却する際に発生する可能性がある税金について、その種類や課税される条件・課税方法および税金の支払方法・注意点などについて詳しく解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。
車を売却する際に発生する可能性がある税金は、「自動車税」・「所得税」・「消費税」の3種類であることや、個人で車を売却する際にはこれらの税金がかかることはほとんどないことなどがわかったかと思います。
今後、車の売却を考えられている人は、今回の記事を参考にしてみてはいかがでしょうか。
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