車の種類は、車体が大きいものから走行性能が優れているものなどそれぞれです。そのため、車の購入を考えたときは、「車の種類が多すぎて迷う」「自分にあった車はどの種類?」と悩む方もいらっしゃるでしょう。
本記事では、AT車とMT車の違いを徹底解説していきます。最後までぜひご覧ください。
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目次
AT車とMT車の違いは?
そもそもオートマ(AT)とマニュアル(MT)が何を指し、どう違うのかわからない人は多いのではないでしょうか。
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- AT:オートマチックトランスミッション(Automatic Ttransmission)の頭文字
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- MT:マニュアルトランスミッション(Manual Transmission)の頭文字
オートマ(AT)とマニュアル(MT)の違いは、ランスミッションと呼ばれる機構が異なることから、ドライバー自身がギアチェンジを行うかどうかにあります。
- AT車:ギアの組み替えを自動でやってくれる車
- MT車:ギアの組み替えを自らの手足で行う必要がある車
つまり、簡単に言えば、AT車の方が操作が単純ということです。
AT車の特徴
これから免許を取得する人におすすめしたいのは、オートマ限定免許です。
- ATを取得する人が大半/AT車の普及
- AT免許の方が教習時間が少ない
- MT車より操作が簡単
- 追加教習でAT免許からMT免許への変更も可能
自動車免許の取得にかかる料金と時間にも若干の差があります。
例)東京都にある教習所
オートマ限定免許 | マニュアル免許 | |
料金プラン
※1コマ(1時限)50分 |
学科26+技能31 合計57、最短14日
約380,000円 |
学科26+技能34 合計60、最短16日
約400,000円 |
技能実習 | 31回 | 34回 |
取り方としても、合宿免許でも通学免許でも、免許取得のための受講数は同じです。
時間的にAT免許の方が3コマ分少ないので、MT免許より短い期間で取れることがわかりますね。つまり、マニュアル車が欲しいなどの理由がない限り、オートマ限定免許でも問題ないということです。
AT車のメリット
ここからは、マニュアル車のメリットを紹介します。
- 運転の操作が簡単で、日常的な運転が楽
操作ミスによるエンストが起こりづらい
変速ショックが小さい
購入できる車種が幅広い
それぞれ詳しく見ていきましょう。
運転の操作が簡単で、日常的な運転が楽
オートマ車はクラッチの操作が必要ないため、発進・停止が簡単なのがメリットです。ブレーキとアクセルだけで運転できるので、誰でも低速でのスムーズな発進が行えます。スピードが上がったときも、自動的に高いギアに変速してくれます。そのため、走行が楽に感じるでしょう。
操作ミスによるエンストが起こりづらい
エンスト(エンジンストール)とは、エンジンをかけている状態で、クラッチを踏むタイミングなどによって発生するエンジンの停止のこと。
オートマ車は、クラッチ操作が必要ないため、操作ミスによるエンストは、ほとんどありません。その反対に、マニュアル車では操作ミスが起こるため、信号待ちなどでエンストすることがあります。
変速ショックが小さい
変速ショックとは、変速時(ギアチェンジのとき)に起こる衝撃のことです。オートマ車の場合ドライバー自身で変速はしないため、変速ショック自体が発生せず、スムーズな運転ができます。
購入できる車種が幅広い
日本国内の自動車は、現在約98%がオートマ車だといわれています。マニュアル車は2%に満たない普及率になっています。そのため、新車を購入しようと思った時、選択肢が多いのがオートマ車なのです。
最近では、マニュアル車をベースとしたメカニズムながら、車が自動でクラッチ操作と変速を行ってくれるオートマ車免許で運転が可能なセミオートマ車も流行しています。
AT車のデメリット
メリットの多いオートマ車ですが、残念ながらデメリットもあります。
- 踏み間違えで事故を起こす可能性がある
エンジンブレーキを活用しづらい(Lレンジ・2レンジで対応可)
AT車の修理は、高額になる可能性あり
それぞれ詳しく見ていきましょう。
踏み間違えで事故を起こす可能性がある
「アクセルとブレーキの踏み間違いによる事故」というニュースが世間を賑わせることがよくあります。これは、オートマ車ならではの事故です。クラッチ操作が必要なマニュアル車では、単純な踏み間違いによる事故は発生しません。
オートマ車はアクセルを踏むだけで車を発進することができて運転が簡単な分、ブレーキを踏みたいとき、Dレンジに入れた状態で誤ってアクセルを踏むと急加速をしてしまいます。
つまり、踏み間違いによる交通事故を引き起こしやすいのです。
また、アイドリング状態の際、アクセルを踏まなくても少しずつ車が前進する「クリープ現象」にも気をつけなければなりません。
エンジンブレーキを活用しづらい(Lレンジ・2レンジで対応可)
エンジンブレーキ(エンブレ)とは、アクセルペダルから足を離したとき、エンジンの回転数が落ちて減速することです。簡単に言えば、フットブレーキを踏まずに減速させる方法ですね。
オートマ車ではエンジンブレーキが効きづらいので、「エンブレ」の活用が難しいと言われています。ただ、DレンジからLレンジや2レンジに切り替える「オーバードライブスイッチ」をオフにすることで、エンジンブレーキをかけやすくできます。積極的に活用しましょう。
レンジとは
シフトレバーにあるP(パーキング)、R(リバース)、N(ニュートラル)など各ポジションのこと。通常走行時のDレンジ(ドライブ)から、2レンジ=セカンドやLレンジ=ローに落とすと減速する。
オーバードライブスイッチとは
シフトレバーについている変速機のスイッチ。オンにしている(=トップギアに入れる)と加速する。基本はオンにしたままだが、下り坂でオフにするとエンジンブレーキがかかりやすくなる。
AT車の修理は、高額になる可能性あり
オートマ車の修理は、部品を全交換することもあり得るため、修理費用が高額になる可能性があります。
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AT車がおすすめな人
新車を買おうと考えている場合ほとんどはAT車が候補となり、AT車限定免許でも大きな問題はありません。
警視庁のWebサイトに掲載されている『運転免許統計(令和元年度)』を調査すると、両者の割合は以下の通りでした。
運転免許試験合格者 | 割合 | |
AT免許 | 768,153人 | 約67% |
MT免許 | 378,903人 | 約33% |
上記の通り「AT免許:MT免許= 7:3 」くらいと言えます。マニュアルよりも、AT免許取得が世間一般になりつつあるのでしょう。
では、AT車がおすすめな人はどんな人なのでしょうか。
運転に慣れていない高齢者や女性
上記の通り、今日本の車のほとんどはオートマ車になっています。オートマ車はギアチェンジやクラッチ操作をする必要がないので、お年寄りや運転が苦手な方も簡単に操作することができます。
マニュアル車はトラックの運転をする方、スポーツカーで本格的にドライブを楽しみたい方、クロスカントリー走行を楽しむ方などが必要とする免許です。
マニュアル車はオートマ車と比べると操作難易度が高いので、運転が苦手な方やクラッチを握るのが苦手な女性にとってはハードルが高いといえます。
運転初心者の大学生
AT免許の教習時間はMT免許よりも数時間少ないので、授業などで忙しい大学生も、同じペースで通い続ければMT免許よりも早く取得できます。AT車の運転はMT車よりも単純ですから、操作で困ることもないでしょう。
MT車の特徴
車のギアには1速や2速などといった段階がありますが、マニュアル車(MT車)はドライバー自身がその中から適切なギアを選んで、速度に合わせてクラッチ操作やギアチェンジ操作を行います。
走り出しや低速走行時には低いギアを使用し、高速走行時には高いギアを使用することが必要です。適切な駆動力を駆動輪に伝えはじめてスムーズな走行が可能となります。
構造がオートマ車よりも複雑ではないために、故障のリスクが少ないというのも魅力の1つでしょう。オートマ車と比べるとパーツが軽く、車両重量を軽減することもできます。そのため、より軽快な走りを期待できるのです。
MT車のメリット
ここからは、マニュアル車のメリットを紹介します。
- 操作している感覚が強く、運転が楽しい
- 山道の運転が楽で、エンジンブレーキを活用しやすい
- レトロな車など特定の車の乗ることができる
それぞれ詳しく見ていきましょう。
操作している感覚が強く、運転が楽しい
マニュアル車の大きなメリットは、ドライバー自身が車を操縦、操作しているという実感を得られやすいという点です。変速操作を車に任せるのではなく、ドライバー自身が道路の環境や路面の状況に合わせてコントロールするので、自分の操作で運転を楽しめるのです。
山道の運転が楽で、エンジンブレーキを活用しやすい
オートマ車であればギアを「D(ドライブ)」に入れたまま、アクセルペダルを離すことでエンジンブレーキがかかります。しかし、エンジンブレーキは、速度が遅いほど強く効きます。オートマ車の場合、一定速でしかエンジンブレーキを得ることができません。
MT車の場合は坂道の傾斜に合わせてギアチェンジして、スピードを調整できます。山道の運転では、勾配やカーブに合わせてコントロールしやすいギアに変えられるため、自身でシフトチェンジできるマニュアル車の方が、ブレーキが効きやすいと感じるのです。
レトロな車など特定の車の乗ることができる
マニュアル車にも根強い人気があり、スバルやマツダといったスポーティな走りにこだわりを持つ自動車メーカーは、ラインナップにマニュアル車をしっかりと残しています。
また、一般的には、MT車はAT車に比べて部品点数が少ないため、車両本体価格が安く設定されています。現在の国産車では新車では5~10万円ほどの差ですが、レトロな中古車になるとスポーツカーなどを除き、車種によっては大幅な値引きがされているケースもあります。
MT車のデメリット
次に、MT車のデメリットを見ていきます。
- MT車の選択肢が少ない
渋滞の際には運転が面倒くさい
車種によっては坂道発進が怖い
AT車と比べて運転が複雑
気軽に運転を交代できない
それぞれ詳しく見ていきます。
MT車の選択肢が少ない
オートマ車に比べて選べる車種が少ないのは、マニュアル車の大きなデメリットでしょう。ミニバンなど人や荷物を載せることを重視したファミリカーなどはほとんどオートマ車で、マニュアル車はスポーツカーを中心に販売されています。
ドライバーからすれば、オートマ車と比較すれば、どうしても車種の選択肢が狭まってしまうのです。
渋滞の際には運転が面倒くさい
「通勤時の渋滞や混雑に嫌気が差し、AT車に乗り換えた」という人も多いようです。
渋滞路などにハマった場合、クラッチ操作を何度も繰り返す必要があります。繰り返しクラッチペダルを踏む足への負担もありますし、長時間の渋滞や毎日のように続く渋滞路がある場合、ドライバーにとって大きなストレスとなって嫌気がさすのは無理もありません。
車種によっては坂道発進が怖い
上り坂での発進時に後退しやすいのが、MT車のデメリットです。特に坂道の途中で発進するとき、クラッチペダルを踏むタイミングを誤るとエンストしてしまい、車が後退して後続車にぶつかる可能性があります。
発進時にサイドブレーキを踏むことで車が後退するリスクは減らせますが、運転に不慣れなうちはタイミングを誤ることもあるでしょう。自動車教習で坂道発進が苦手だった方や後続車への追突リスクを軽減したい方は、HSA(ヒルスタートアシスト)と呼ばれる機能を搭載した車を選ぶのがおすすめです。
AT車と比べて運転が複雑
オートマ車はクラッチ操作がなく簡単に扱えます。その点、マニュアル車は、どうしても操作の難しさが目立ちます。正しいクラッチ操作ができないとスムーズな変速ができないだけでなく、上記の通り、走行中にエンストを起こしてしまうこともあります。
気軽に運転を交代できない
気軽に運転を交代できないことも、デメリットのひとつです。
鳥取環境大学環境情報学部情報システム学科の鷲野翔一教授(当時)が2004年に発表した論文『ドライバ心理と安全運転』では、「車100台あたりの事故率は、AT車はMT車の約2倍」というデータが提示されています。
日本自動車販売協会連合会によると2019年の乗用登録車販売で占めるマニュアル車の割合はわずか1.4%まで減少しているそうです。
そのため、そもそもマニュアル車を運転できない人が多く、長距離運転の時などに気軽に運転を交代しにくいのです。
MT免許を取得している人の割合
警察庁のWebサイトに掲載されている運転免許統計『平成30年(2018年)中の運転免許の試験実施状況』とよると、普通免許の受験者数が1,612,836人、そのうちAT限定が1,061,905人、MTは550,931人です。
ちなみに合格者は1,155,475人で、そのうちAT合格者は740,097人、合格率は71.6%、MT合格者は415,378人で合格率は69.7%となっています。
MT車がおすすめな人
マニュアル車にはオートマ車にはない良さがあります。企業の社用車、バスなどの大型車、海外製のクルマや中古車にもまだまだMT車が多く、スポーツカーなどの走りを楽しむクルマでは今なおMT車が多く採用されています。
また、クラッシックカーブームが目立つ昨今ですが、昔の自動車のMT車率は現行車のそれよりも高い傾向にあるため、MT免許を持っていれば将来的にクラッシックカーを購入してもすぐに運転できます。
スポーツカーの場合は、車を操る楽しさという面でもマニュアル車が人気です。スポーツカー関連の仕事をする場合はマニュアルで免許を取得するとよいかもしれません。
少数派にはなりつつありますが、このようなクルマに乗る可能性がある場合は、MT車にも乗れる免許を取っておいていいかもしれません。
まとめ
MT車 | AT車 | |
メリット | ダイレクトな運転感覚が味わえる | MT車よりも免許の取得が容易 |
エンジンブレーキが効きやすい | 運転操作が簡単 | |
故障のリスクが少ない | 操作ミスによるエンストがない | |
踏み間違いによる急発進を
防ぐことができる |
駐車や渋滞の操作が楽 | |
MT車の免許があればAT車も
運転ができる |
車種の選択肢が豊富 | |
デメリット | 免許取得がAT車よりも難しい | 踏み間違いによる誤発進の
危険性がある |
免許取得時の費用がAT車限定より高い | 下り坂などでフェード現象や
ベーパーロック現象が起きやすい |
|
運転操作が複雑でエンストの
可能性がある |
AT車限定免許では
MT車運転できない |
|
車種の選択肢が少ない |
いかがでしたでしょうか?
「とりあえず車に乗れればいい」という方はオートマ車、スポーツカーなどの車に興味がある方はマニュアル車を選択するなど、あなたの好みに合わせて免許を選択するといいでしょう。
オートマ限定免許を限定解除するためには、再度教習所に通う手間と5〜10万円程度の費用がかかります。どちらを取るかまだ決まっていないという場合は、「将来マニュアル車に乗りたいか」「車関係の仕事をするかどうか」を考えてみるとよいかもしれませんね。
中古車をさらにおトクに買うならモビリコ!