トヨタのフラッグシップセダンとして長年親しまれてきたクラウンの中でも、14代目にあたる「210系クラウンアスリート」は、スポーティなフロントグリルデザインと高い運動性能で根強い人気を誇ります。
本記事では、210系クラウンアスリートの中古車選びで特に比較される量販グレード「S」と最上級グレード「G」の違いを徹底解説します。さらに、先代(200系)・後継(220系)との違いや、同世代のロイヤルシリーズとの比較も含め、メーカー公表値に基づいた詳細な比較表で網羅的にご紹介します。
目次
1. 210系クラウンアスリートの全体像と他世代(200系・220系)との違い

210系クラウンアスリートを理解する上で、前後世代である先代200系(13代目)および後継220系(15代目)との違いを押さえることは非常に重要です。世代ごとにプラットフォームやデザインコンセプト、搭載エンジンが大きく異なります。
クラウンアスリート 世代間スペック比較(200系・210系・220系)
| 比較項目 | 先代:200系アスリート(2008-2012) | 当代:210系アスリート(2012-2018) | 後継:220系クラウン(2018-2022) |
| ボディサイズ(全長×全幅×全高) | 4,870mm × 1,795mm × 1,470mm | 4,895mm × 1,800mm × 1,450mm | 4,910mm × 1,800mm × 1,455mm |
| ホイールベース | 2,850mm | 2,850mm | 2,920mm |
| プラットフォーム | Nプラットフォーム | Nプラットフォーム(改良型) | TNGA(GA-K/GA-L系新世代) |
| 主軸パワートレイン | 2.5L V6 / 3.5L V6 | 2.5L HV / 2.0Lターボ / 3.5L V6 | 2.5L HV / 2.0Lターボ / 3.5L V6 HV |
| フロントデザイン | 横基調のスポーティグリル | 稲妻型の大型グリル | 流麗なクーペ風ルーフライン |
| 特徴的な技術 | NAVI・AI-AVS、VDIM | Toyota Safety Sense P(後期)、2.0L直噴ターボ | コネクティッド機能(DCM標準搭載) |
先代(200系)との主な違い
200系ではV型6気筒エンジンが主軸でしたが、210系では環境性能と静粛性を高めた直列4気筒2.5Lハイブリッドシステム(2AR-FSE)が主軸に据えられました。また、フロントグリルには大胆な「稲妻モチーフ」の一体型グリルが採用され、視覚的なスポーティさが格段に増しています。
後継(220系)との主な違い
後継の220系では「アスリート」「ロイヤル」という名称が廃止され、「クラウン」として一本化されました。プラットフォームにはTNGA(GA-L)が刷新され、車体剛性や低重心化が追求されています。210系は伝統的なFRセダンのパッケージングと押し出し感のあるフロントフェイスを備えている点が特徴です。
2. 同世代における他モデル(ロイヤル・マジェスタ)との違い


210系クラウンには、走りを追求した「アスリート」のほかに、フォーマルで上質な乗り心地を重視した「ロイヤルサルーン」、高級感とロングホイールベースを備えた「マジェスタ」が存在します。
210系クラウン シリーズ別比較(アスリート・ロイヤル・マジェスタ)
| 比較項目 | アスリート(Athlete) | ロイヤル(Royal) | マジェスタ(Majesta) |
| 車両コンセプト | スポーティ&ドライビング | フォーマル&コンフォート | 最上級プレミアムセダン |
| 全長×全幅×全高 | 4,895mm × 1,800mm × 1,450mm | 4,895mm × 1,800mm × 1,460mm | 4,970mm × 1,800mm × 1,460mm |
| ホイールベース | 2,850mm | 2,850mm | 2,925mm(+75mm) |
| フロントデザイン | メッシュ調・稲妻デザイングリル | 横バー基調の上品なグリル | 縦バー基調の格式高いグリル |
| サスペンションセッティング | 専用チューニング(やや硬め・安定性重視) | コンフォートセッティング(柔らかめ) | 専用エアサス/快適性追求セッティング |
| 主な設定パワートレイン | 2.0Lターボ / 2.5L HV / 3.5L V6 | 2.5L ガソリン / 2.5L HV | 3.5L V6 HV |
アスリートは専用チューニングされたサスペンションやメッシュタイプのフロントグリルを備えており、ステアリングレスポンスとロールの抑制に重点が置かれています。ゆったりとした快適性を重視する場合はロイヤル、より広い後席空間を求める場合はマジェスタが選択肢となります。
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3. 210系クラウンアスリート「S」と「G」の位置づけと新車時価格比較

210系クラウンアスリートのグレード構成において、中心となるのが量販グレードの「S」と、上級装備を満載した最上級グレードの「G」です。
パワートレイン別「S」と「G」の新車時メーカー希望小売価格(目安・後期型)
| パワートレイン | 駆動方式 | アスリート S | アスリート G | 新車時価格差 |
| 2.0L直噴ターボ | 2WD(FR) | 約450万円〜 | 約533万円〜 | 約83万円 |
| 2.5Lハイブリッド | 2WD(FR) | 約503万円〜 | 約576万円〜 | 約73万円 |
| 2.5Lハイブリッド | 4WD(E-Four) | 約525万円〜 | 約598万円〜 | 約73万円 |
| 3.5L V6ガソリン | 2WD(FR) | 約524万円〜 | 約610万円〜 | 約86万円 |
ボディサイズ・室内寸法(S・G共通公表値)
| 比較項目 | 公表スペック(ミリメートル) |
| 全長 × 全幅 × 全高 | 4,895mm × 1,800mm × 1,450mm(4WD全高:1,465mm) |
| ホイールベース | 2,850mm |
| トレッド(前/後) | 1,545mm / 1,545mm |
| 室内長 × 室内幅 × 室内高 | 1,975mm × 1,540mm × 1,190mm |
| 最低地上高 | 135mm(4WD:140mm) |
| 最低回転半径 | 5.2m |
新車時にはパワートレインにより約73万円〜86万円の価格差がありました。中古車市場においては、走行距離や車両状態に応じて価格差は縮小する傾向にありますが、標準装備されている機能の差異は明確に存在します。
4. 【比較表】エクステリア(外装)・足回りの違い


外観の基本意匠は共通していますが、細部における加飾や足回りの仕上げ、自動化機能に違いが設けられています。
エクステリア・足回り装備比較
| 比較項目 | アスリート S | アスリート G |
| アルミホイール(18インチ) | ダークメタリック塗装(標準) | スパッタリング塗装(標準装備) |
| フロントフォグランプ | LEDフォグランプ | LEDフォグランプ(標準装備) |
| フロントワイパー | 時間調整式間欠ワイパー | 雨滴感知式オートワイパー(標準装備) |
| アウトサイドドアハンドル | カラード(ボディ同色) | メッキ加飾付き |
| ドアミラー機能 | 電動格納式リモコンドアミラー | オートリトラクタブル・ヒーター・メモリー付 |
| フロントガラス | UVカット・撥水機能付ガラス | 遮音機能付UVカット・撥水機能付ガラス |
外観機能のポイント解説
-
スパッタリング塗装アルミホイール: 「G」に標準装備される18インチホイールには、強い金属光沢を持つスパッタリング塗装が施され、足元に重厚感を与えます。
-
雨滴感知式オートワイパー: 降雨量をセンサーが判別し、ワイパーの作動周期を自動調整するため、天候変化時の操作負担を軽減します。
-
遮音ガラス: 「G」のフロントガラスには遮音膜が挟み込まれたガラスが採用されており、静粛性の向上が図られています。
5. 【比較表】インテリア(内装)・シート・快適装備の違い

「S」と「G」における最大の差別化ポイントは、車内の快適性とシート関連の標準機能です。これらは購入後に社外品等で後付けすることが非常に困難な要素です。
インテリア・シート機能比較
| 比較項目 | アスリート S | アスリート G |
| シート表皮 | ファブリック(標準) | 本革(標準装備) |
| 運転席シート調整 | 8ウェイパワーシート | 8ウェイパワーシート(メモリー機能付) |
| 助手席シート調整 | 4ウェイパワーシート | 4ウェイパワーシート |
| シートベンチレーション | 非設定(オプション設定なし) | 運転席・助手席に標準装備 |
| 前席シートヒーター | 標準装備 | 標準装備 |
| 後席シートヒーター | なし | 後席左右に標準装備 |
| ステアリング調整 | 手動チルト&テレスコピック | 電動チルト&テレスコピック(マイコンプリセット付) |
空調・電装・後席快適機能比較
| 比較項目 | アスリート S | アスリート G |
| 電動リアサンシェード | なし | 標準装備 |
| 手動リアドアサンシェード | なし | 標準装備 |
| エアコン機能 | 左右独立温度調整フルオート | 左右独立+排出ガス感知内外気自動切替付 |
| ナノイー機能 | 標準装備 | 標準装備 |
| オーナメントパネル | 木目調パネル(仕様による) | 専用幾何学柄木目調上級加飾 |
| イージークローザー | トランクのみ | トランク+全ドアイージークローザー |
快適装備のポイント解説
-
シートベンチレーション: 本革シートの内部に配置されたファンが風を送ることで、夏季の蒸れを低減する機能です。「G」にのみ標準設定されています。
-
マイコンプリセットポジション: 運転席のシート位置、ステアリング角度、ドアミラー角度を連動して記憶する機能です。ドライバー交代時の再現性に優れます。
-
全ドアイージークローザー: 半ドア状態を防ぎ、静かにドアを全閉させる機能であり、「G」に標準設定されています。
6. 【比較表】安全装備・運転支援システムの違い
210系クラウンアスリートは、前期型(2012年〜2015年)および後期型(2015年〜2018年)の生産時期によって装備仕様が変化します。同年代で比較した場合の安全機能の差は以下の通りです。
安全装備・運転支援機能の比較
| 比較項目 | アスリート S | アスリート G |
| インテリジェントクリアランスソナー | メーカーオプション設定 | 標準装備 |
| アダプティブハイビームシステム(AHS) | メーカーオプション設定 | 標準装備 |
| Toyota Safety Sense P(後期型) | 標準装備 | 標準装備 |
| 自動防眩インナーミラー | 標準装備 | 標準装備 |
| VDIM(統合型走行安定システム) | 標準装備 | 標準装備 |
| SRSエアバッグ(前席・サイド・カーテン・膝) | 標準装備 | 標準装備 |
予防安全機能のポイント解説
-
インテリジェントクリアランスソナー: 低速走行時や駐車時における壁などの障害物を検知し、衝突被害軽減をサポートする機能です。「G」には標準で搭載されています。
-
アダプティブハイビームシステム(AHS): ハイビーム照射時、先行車や対向車の部分のみを部分遮光する先進ライトシステムです。夜間視認性の維持に貢献します。
7. パワートレイン別スペック比較

210系クラウンアスリートには3種類のパワートレインが展開されています。エンジン形式ごとの公表値スペックは以下の通りです。
パワートレイン別スペック一覧表(公表カタログ値)
| 項目 | 2.0L直噴ターボ(8AR-FTS) | 2.5Lハイブリッド(2AR-FSE) | 3.5L V6ガソリン(2GR-FSE) |
| エンジン種類 | 直列4気筒DOHCターボ | 直列4気筒DOHC+モーター | V型6気筒DOHC |
| 総排気量 | 1,998cc | 2,493cc | 3,456cc |
| 最高出力(エンジン) | 235PS (173kW) / 5,200-5,800rpm | 178PS (131kW) / 6,000rpm | 315PS (232kW) / 6,400rpm |
| 最大トルク(エンジン) | 350N・m / 1,650-4,400rpm | 221N・m / 4,200-4,800rpm | 377N・m / 4,800rpm |
| システム最高出力 | ― | 220PS (162kW) | ― |
| トランスミッション | 8速Sport Direct-Shift | 電気式無段変速機 | 8速Sport Direct-Shift |
| JC08モード燃費 | 13.4km/L | 23.2km/L(4WD: 21.0km/L) | 9.6km/L |
| 使用燃料 | 無鉛プレミアムガソリン(ハイオク) | 無鉛レギュラーガソリン | 無鉛プレミアムガソリン(ハイオク) |
各パワートレインとも、「S」と「G」によるエンジン性能やトランスミッション、サスペンション構造の差はありません。走行フィール自体は同等であるため、純粋に内装や電子制御装備の差異でグレードを選択できます。
8. 中古車購入時に確認すべき留意点
210系クラウンアスリートの中古車を探す際は、以下のポイントを実車で確認することが推奨されます。
-
メーカーオプション装着の有無
「S」グレードであっても、新車時のオーダーで本革シートやインテリジェントクリアランスソナー、サンルーフがオプション装着されている個体が存在します。「Sベースのオプション装着車」は選択肢として注目されます。
-
本革シートの経年状態
「G」に標準装備される本革シートは、乗降時に負荷がかかる運転席サイドサポート部に擦れやヒビが生じやすい特性があります。内装状態のチェックは欠かせません。
-
前期型(2012〜2015)と後期型(2015〜2018)の違い
2015年10月のマイナーチェンジにより、2.0Lターボモデルの追加、フロントグリルの網目デザイン変更、ボディ剛性の向上、安全パッケージ(Toyota Safety Sense P)の採用などが行われています。年式による差異の確認が必要です。
-
店舗ごとの条件確認: 販売価格や整備状態、保証範囲などは取扱店舗により異なります。実際の取引条件については、各販売店または整備士にご確認ください。
9. 【用途別・目的別】「S」と「G」の選び方

公表されている仕様に基づき、それぞれのグレードがどのような用途に適しているかを整理します。
用途別適合マトリクス
| 求める条件・ライフスタイル | アスリート S | アスリート G |
| 初期費用を抑えてクラウンの走りを味わいたい | 適合 | ― |
| ファブリックシートの温度変化の少なさを好む | 適合 | ― |
| シートベンチレーション(夏の快適機能)を求める | ― | 適合 |
| 家族で運転を交代するため位置記憶機能が欲しい | ― | 適合 |
| 後席に同乗者を頻繁に乗せる(おもてなし重視) | ― | 適合 |
| 社外シートへの交換や内装カスタムを予定している | 適合 | ― |
10. 210系クラウンアスリートに関するよくある質問(Q&A)
Q1. 外観のみで「S」と「G」を見分ける方法はありますか?
A. 足元のアルミホイール塗装が最も判別しやすいポイントです。両グレードとも同デザインの18インチホイールですが、「G」は強い光沢を持つスパッタリング塗装、「S」はダークメタリック塗装となっています。また、アウトサイドドアハンドルへのメッキ加飾の有無(Gは加飾あり、Sはなし)でも確認できます。
Q2. 「S」に後から「G」の純正シートベンチレーションを取り付けることは可能ですか?
A. 純正のシートベンチレーションシステムは、スイッチ類や専用ハーネス、空調ダクト、シート内蔵ファンなどが複雑に連動しているため、購入後の後付けは構造上極めて困難です。この機能を重視される場合は、最初から「G」グレードを選択するのが合理的です。
Q3. 「S」と「G」で乗り心地や室内静粛性に違いはありますか?
A. サスペンション構造や主要な遮音材の配置は共通しているため、基本的な乗り心地や走行フィーリングに大きな差はありません。ただし、「G」にはフロントガラスに遮音機能付きガラスが採用されているほか、18インチスパッタリングホイールが装着されているため、静粛性の面でわずかな違いを感じる場合があります。
まとめ
210系クラウンアスリートの「S」と「G」は、走行性能や基本ボディスペックを共通としながらも、シート機能や空調設備、電子制御による快適・安全装備において明確な差別化がなされています。
本革シートの質感やシートベンチレーション、ドライバー位置のメモリー機能など、後付けが難しい快適性を求める場合は「G」グレードが適しています。一方で、走行性能やスタイリングはそのままに初期費用を抑えたい場合や、ファブリックシートの座り心地を好む場合は「S」グレードが適した選択肢となります。
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