トヨタのフラッグシップセダン「クラウン」。その長い歴史の中で、スポーティな走行性能と若々しいデザインを特徴として展開されてきたのが「クラウンアスリート」シリーズです。流麗なスタイリングと上質な乗り心地を両立したモデルとして、販売終了後も中古車市場で根強い人気を保っています。

しかし、いざ中古車を探し始めると、「アスリートG」「アスリートS」「アスリート(ベースグレード)」といったグレードの名称や、エンジンの違い、年式による装備差が複雑で、どれを選べば良いか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。

本記事では、中古車市場で特に流通量が多い210系(2012年〜2018年生産モデル)を中心に、各グレードの詳細な装備差、200系との世代比較、前期型・後期型の違いなどを、メーカー公表値に基づいた詳細な比較表とともに解説します。ご自身の用途やこだわりに最適な一台を見つけるための情報としてお役立てください。

目次

1. 200系と210系クラウンアスリートの違い

クラウンアスリートを探す際、2012年を境に世代が切り替わる「200系(13代目クラウン)」と「210系(14代目クラウン)」のどちらを選ぶかという点も大きな選択肢となります。まずは、この2つの世代における主要な違いを整理します。

200系と210系クラウンアスリートの主な仕様比較表

比較項目 200系(2008年〜2012年生産) 210系(2012年〜2018年生産)
フロントデザイン シャープで端正な直線基調のグリル 稲妻をモチーフにした大型の専用フロントグリル
ハイブリッドモデルの設定 なし(※ハイブリッドは独立モデルとして存在) 2.5L直列4気筒エンジン+モーターのハイブリッドを新設定
ダウンサイジングターボ なし(V6 2.5L / 3.5Lのみ) 2.0L直噴ターボエンジンモデルを追加(※後期型より設定)
インパネ・ナビ操作系 物理スイッチを中心としたオーソドックスな構成 エアコンや車両設定を行うタッチパネル式「トヨタマルチオペレーションタッチ」を採用
安全装備(公表仕様) VDIM(車両ダイナミクス統合管理)などの基本システム 予防安全パッケージ「Toyota Safety Sense P」を標準装備(※後期型より)

以降の章では、現在の中古車市場で中心となっている210系クラウンアスリートのグレード展開について詳しく解説します。

2. 210系クラウンアスリートのパワートレーンと基本グレード体系

210系クラウンアスリートのグレード構成は、エンジンの種類(パワートレーン)と、装備レベル(ベースグレード、S、G)の組み合わせで成り立っています。

210系クラウンアスリート パワートレーン別設定グレード一覧

エンジン種類 駆動方式 グレード展開(名称) 主な特徴(メーカー公表ベース)
2.5L ハイブリッド 2WD / 4WD

アスリート

 

アスリートS

 

アスリートG

モーター駆動による優れた静粛性と燃費性能を両立した主力モデル。

2.0L 直噴ターボ

 

(※後期型のみ)

2WD

アスリートT

 

アスリートS-T

 

アスリートG-T

8速ATとの組み合わせにより、アクセルレスポンスに優れたスポーティな走行を実現。
2.5L V6ガソリン 4WDのみ

アスリート i-Four

 

アスリートS i-Four

 

アスリートG i-Four

フルタイム4WD(i-Four)を採用し、天候を問わない走行安定性を確保。
3.5L V6ガソリン 2WD

アスリートS

 

アスリートG

 

(※ベースグレード設定なし)

最高出力315PS(公表値)を発揮する大排気量V6エンジンを搭載。

基本となる装備の階層は以下の3つです。

  1. アスリートG:最上位に位置し、本革シートや後席の快適装備などを標準採用するフラッグシップ。
  2. アスリートS:価格と装備のバランスが良く、最も標準的な中核グレード。

  3. アスリート(ベースグレード):クラウンの基本性能はそのままに、快適装備をシンプルにした仕様。

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3. 【機能別】G・S・ベースグレードの詳細装備比較

ここからは、G、S、ベースグレード間の具体的な装備の違いを、「シート・内装」「快適機能」「外観・足回り」の3つの視点から詳細な比較表で確認していきます。

3-1. シート材質と内装・ステアリング装備の比較

ドライバーが最も触れる機会の多い内装やシート関連の装備差です。

内装・シート周りの装備比較表

装備項目 アスリート(ベースグレード) アスリートS アスリートG
シート表皮材質 ファブリック 高級ファブリック 本革(標準装備)
運転席パワーシート 8ウェイ電動 8ウェイ電動 8ウェイ電動
助手席シート調整 4ウェイ手動式 4ウェイ電動パワーシート 4ウェイ電動パワーシート
シートヒーター(前席) 非設定 メーカーオプション設定 標準装備
シートベンチレーション(前席) 非設定 メーカーオプション設定 標準装備
ステアリング調整機能 手動チルト&テレスコピック 電動チルト&テレスコピック 電動(オートアウェイ&リターン機能付)
ステアリングヒーター 非設定 メーカーオプション設定 標準装備
マイコンプリセット機能 非装備 非装備 標準装備(シート位置等を記憶)

最上位の「アスリートG」は、本革シートが標準装備となるだけでなく、冬場にシートを温めるシートヒーターや、夏場の蒸れを軽減するシートベンチレーション(送風機能)が前席に備わります。「アスリートS」ではこれらはメーカーオプションとして用意されており、標準状態では質感の高い「高級ファブリック」が採用されます。

ベースグレードは助手席の調整やステアリング位置の調整が手動となります。

3-2. ドア機能と空調・後席快適装備の比較

同乗者の快適性や、日常の使い勝手に関する装備の比較です。

快適・空調装備の比較表

装備項目 アスリート(ベースグレード) アスリートS アスリートG
エアコンの仕様 左右独立温度コントロールオートエアコン 左右独立温度コントロールオートエアコン 3地域独立温度コントロールオートエアコン
後席コントロールスイッチ 非装備 非装備 標準装備(リアアームレスト内)
全ドアイージークローザー 非装備 非装備 標準装備(半ドア状態から自動全閉)
トランクリッド機能 イージークローザー標準 イージークローザー標準 イージークローザー標準
リヤサンシェード 非設定 手動式(一部電動はOP) 電動リヤウインドウサンシェード標準
ナノイー(空気清浄機能) 標準装備 標準装備 標準装備

「アスリートG」は後席の快適性が大きく引き上げられています。後席乗員が独自に温度調整できる「3地域独立エアコン」や、手元でオーディオやエアコンを操作できるコントロールスイッチが備わります。また、ドアを軽く閉めるだけで自動的に引き込む「全ドアイージークローザー」は、Gグレードのみの特別な装備です。

3-3. 外装と足回り・ホイールの比較

エクステリアや足回りの基本構成は、グレード間よりもパワートレーンによる違いが大きくなります。

外装・足回りの装備比較表

装備項目 アスリート(ベースグレード) アスリートS アスリートG
アルミホイール(2.5L/2.0L系) 17インチアルミホイール 17インチアルミホイール 17インチアルミホイール
アルミホイール(3.5L V6) (※設定なし) 18インチアルミホイール 18インチアルミホイール
ヘッドランプ Bi-Beam LEDヘッドランプ Bi-Beam LEDヘッドランプ Bi-Beam LEDヘッドランプ
ブレーキサイズ 標準サイズ 標準サイズ(※3.5Lは17インチ大径ディスク) 標準サイズ(※3.5Lは17インチ大径ディスク)

外観上のデザインやアルミホイールのサイズは、G、S、ベースグレード間で大きな差はありません。ただし、ハイパフォーマンスモデルである「3.5L V6ガソリンエンジン」搭載車を選択した場合は、グレードに関わらず専用の18インチアルミホイールと、制動力を高めた大径ディスクブレーキが標準装備されます。

4. 210系 前期型と後期型の違い(2015年マイナーチェンジ)

210系クラウンアスリートは、2012年12月の発売から2018年6月の販売終了までの間、2015年10月に大規模なマイナーチェンジを実施し、「後期型」へと移行しています。

前期型と後期型の主な変更点比較

比較項目 前期型(2012年12月〜2015年9月) 後期型(2015年10月〜2018年6月)
フロントグリル形状 バンパー上部で区切られた稲妻グリル バンパー下端まで延長された、より立体的で大型のグリル
リヤコンビネーションランプ 丸型4灯のリング状デザイン 奥行き感と立体感を強調した新意匠の丸型4灯LED
予防安全装備 ミリ波レーダー方式のプリクラッシュセーフティ(OP設定中心) パッケージ化された「Toyota Safety Sense P」を全車に標準装備
ボディ剛性 従来の接合構造 構造用接着剤の採用を拡大し、ボディ剛性と操縦安定性を向上
パワートレーンの追加 – 2.0L直噴ターボエンジン搭載モデルを新設定
後期型の特徴

外観では、フロントグリルのメッシュ部分が下部まで広がり、より低重心で迫力のあるデザインに変更されました。

機能面で最も重要なアップデートは、予防安全パッケージ「Toyota Safety Sense P」の全車標準化です。これにより、歩行者検知機能(昼間)付の衝突回避支援型プリクラッシュセーフティや、レーンディパーチャーアラートなどが備わりました。また、ボディに構造用接着剤を多用することで剛性が高まり、乗り心地の質感がさらに向上していると公表されています。

5. 購入前にチェックしたい!後付け不可のメーカーオプション

中古車を探す際、「アスリートS」のように新車時のオプション選択の幅が広かったグレードでは、車両ごとに装着されている機能が異なります。以下の機能は工場出荷時に組み込まれる「メーカーオプション」であり、購入後にディーラーや用品店で追加することができません。

  1. マイコン制御チルト&スライド電動ムーンルーフ(サンルーフ)

    全グレードでメーカーオプション設定。車内に自然光を取り入れ、開放感を高める人気の装備です。

  2. 本革シート(アスリートSの場合)

    アスリートSでは本革シートはオプション扱いでした。このオプションが装着されている車両は、前席のシートヒーターやベンチレーション機能もセットで装備されています。

  3. パノラミックビューモニター

    車両の前後左右に搭載された4つのカメラ映像を合成し、ナビ画面に車両を上空から見下ろしたような映像を表示するシステムです。

  4. プレミアムオーディオ(トヨタプレミアムサウンドシステム等)

    標準仕様よりもスピーカー数が多く、専用のアンプを備えた高音質オーディオシステムです。

気になる車両を見つけた際は、スペック表だけでなく、内装写真や販売店への問い合わせを通じて、これらのメーカーオプションの有無を確認しておくことをおすすめします。

6. 維持費の目安と経済性の比較

車を所有するにあたり、エンジンの排気量によって毎年納める自動車税(種別割)の金額が異なります。また、指定燃料(レギュラーかハイオクか)によっても日々の燃料代に差が出ます。

パワートレーン別 自動車税区分と指定燃料の目安

パワートレーン 自動車税(種別割)の排気量区分 指定燃料 燃費に関する特徴(公表値に基づく傾向)
2.5L ハイブリッド 2.0L超〜2.5L以下 レギュラー モーターアシストによりJC08モード燃費23.2km/L(前期2WD)と高い環境性能を持つ。
2.0L 直噴ターボ 1.5L超〜2.0L以下 無鉛プレミアム(ハイオク) 排気量が小さいため自動車税は2.5Lクラスより安価に設定される。
2.5L V6ガソリン 2.0L超〜2.5L以下 レギュラー 燃費数値はハイブリッド車に及ばないものの、レギュラー仕様のため燃料代を計算しやすい。
3.5L V6ガソリン 3.0L超〜3.5L以下 無鉛プレミアム(ハイオク) 排気量が大きいため自動車税の区分が高く、ハイオク指定となる。

※自動車税の税額は、初度登録年月や環境性能、初度登録からの経過年数(ガソリン車は13年経過で重課税)によって変動します。実際の税額については、ご購入予定の車両の年式をもとに最新の税制をご確認ください。

7. ニーズ別:おすすめグレードの選び方

これまでの比較を踏まえ、どのような方にどのグレードが適しているかの目安を整理します。優劣を決定するものではありませんので、ご自身のライフスタイルと照らし合わせてご検討ください。

8. まとめ

クラウンアスリートのグレード選びは、名称だけでなく以下のポイントを総合的に確認することが大切です。

  1. グレード間の装備差:本革シートやイージークローザーが標準の「G」、バランスに優れた「S」、シンプルな「ベースグレード」。

  2. パワートレーン:維持費を重視するなら2.5Lハイブリッド、スポーティな走りなら2.0Lターボなど、用途に合わせたエンジン選択。

  3. 年式の違い:200系と210系の世代間の違いや、安全装備(Toyota Safety Sense P)が充実した210系後期型という選択肢。

  4. オプションの有無:サンルーフなど後付けできないメーカーオプションの現車確認。

予算、希望するエンジン、そして絶対に外せない装備の優先順位を明確にし、メーカー公表のスペック表と照らし合わせることで、ご自身に最適なクラウンアスリートを見つけることができるはずです。

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