「知らないうちに車に細かな傷がついてしまっていた」という経験はありませんか。その原因は、走行中の飛び石による傷や路肩の草木や洗車による擦り傷などの細かな傷など、気を付けていてもついてしまう傷等だと考えられます。
細かい傷や目立たない傷ならば、そのまま放置してしまうことも考えてしまいがちですが、車体の劣化を考えるとなるべく治したいところです。
そんな時、専門業者に依頼する費用を節約するために、自分で傷を消したいと考える方もいるのではないでしょうか。
そこで本記事では、車についた傷を消すための傷消し剤や、その使い方について詳しく解説していきます。注意点もあわせて解説していくので、ぜひ参考にしてみてください。
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目次
車についた傷は自分でも消せる?
車に傷がついてしまったとき、専門業者に依頼する方が多いのではないでしょうか。しかし、修理にかかる費用を考えると躊躇してしまう人も少なくないはずです。そんな方は、自分で車の傷を補修してみてはいかがでしょうか。
カー用品店などには、車用の傷消し剤が数多く売られています。それらを使えば、自分でも車の傷を治すことができます。
ここからは、自分で傷消しを行うメリットや、市販されている傷消し剤について詳しく解説していきます。
自分で傷消しをするメリット
車に傷がついてしまったときに、自分で傷消しをするメリットにはどんなものがあるでしょうか。いくつか例を挙げていきます。
・コストを抑えることができる
市販の傷消し剤を使って自分で傷を治すことができれば、専門業者に依頼するよりもコストを抑えることが可能です。
・車に詳しくなくても簡単にできる
女性や初心者の方など、車についてあまり詳しくない場合、自分で傷を治すなんて難しくて無理だと考えてしまいがちです。
しかし、市販の傷消し剤にはさまざまなタイプのものがあり、その多くが説明をよく読んで使用すれば簡単に扱えるものとなっています。
・修理を依頼する手間や時間を取られない
自分で傷を治すことができれば、専門業者に修理の依頼をして車両を持ち込む手間や、修理に出している間車が使えないといった不自由もありません。
・メンテナンス効果のあるものもある
傷消し剤の中には、コーティング効果や撥水効果などのメンテナンス効果が傷消しと同時に得られるものもあります。
市販されている傷消し剤の種類
では、市販の傷消し剤にはどのようなものがあるのでしょうか?傷消し剤の種類を以下の表にまとめてみました。
傷消し剤のタイプ | 特徴 |
コンパウンド | 傷の表面を研磨剤で削ることで傷を目立たなくします
液状のものやチューブ状・シート状のものがあります |
ワックス | 傷の表面をコーティングして目立たなくさせます
固形状・半練り状・研磨剤入りなどがあります |
タッチペン | 塗装が剥げてしまった部分に塗ることができます
小型の刷毛やペン状のものがあります |
スプレー | 傷の表面に塗ることで傷が目立たなくなります
撥水効果やコーティング効果が得られるものもあります |
クロス | 拭くだけで傷が目立たなくなります
繰り返し使用可能です |
パテ | 傷のへこみを埋めて平らにすることができます
ペースト状や粘土状のものがあります |
シール | 傷の上から貼るだけで傷を目立たなくさせます
車体の曲面に貼りやすいタイプのものもあります |
車の傷消し剤の選び方とは
さまざまな種類がある市販の傷消し剤ですが、どのように選んだらよいのかわからない、という方もいるのではないでしょうか。
そこでここからは、傷のタイプに合わせた傷消し剤の選び方を紹介します。車についてしまった傷のタイプと照らし合わせて、市販の傷消し剤を選んでみてください。
水で濡らすと消える細かい傷には
水で濡らすと目立たなくなるような細かくて浅い傷には、コンパウンドやワックスタイプの傷消し剤がおすすめです。
コンパウンドは粒子の大きさによって、粗目・細目・極細とあるので、傷の状態に合わせて粒子の大きさを選ぶようにしましょう。
ワックスは伸びが良いので、広範囲の傷をカバーできます。研磨剤入りのものとそうでないものがあり、研磨剤入りのワックスを使用する際はあまり強くこすらないようにしましょう。強くこすりすぎると、傷が悪化してしまうので注意が必要です。
水で濡らしても消えない引っかき傷には
引っかき傷のような、線状の細い傷や小さなへこみにはタッチペンがおすすめです。
線状の傷や小さな塗装の剥がれなどを、ペン先でなぞるように塗料を塗るだけで傷が目立たなくなります。取り扱い方が比較的簡単なので、初心者でも作業しやすいのが特徴です。
タッチペンはさまざまなカラー展開がされており、車両のボディカラーに合わせたカラーナンバーで探すことも可能です。ちょっとした傷にも使いやすいので、ボディカラーに合わせたタッチペンを車に常備しておくと便利です。
車体の色番号は、運転席やエンジンルームなどに記載されていることが多いです。
塗装がはがれて下地が見えている傷には
塗装が剥がれて下地が見えてしまっているような傷の場合には、へこんだ部分にパテを埋め込んで表面を平らにしていく方法で補修します。
ある程度平らになったところで、上からタッチペンやスプレーなどを使って全体的に仕上げていくのがおすすめです。
ただし、傷があまりにも深い場合や広範囲にわたっている場合には、専門業者に依頼することを検討したほうが良いかもしれません。
広い範囲の擦り傷には
傷自体は浅くても広範囲の擦り傷には、スプレータイプの傷消し剤がおすすめです。ワックスやコンパウンドを使うよりも手軽に、短時間で作業を進めることが可能です。
傷のある範囲に向かってスプレーを吹きかけるだけで、簡単に傷が隠せます。慣れていないとムラになりやすいので、数回に分けて重ね塗りするのがうまく仕上げるコツです。
傷消し剤を使用する際の注意点
市販されている傷消し剤にはさまざまな種類があり、傷のタイプにあったものや使いやすいものを選べば自分でも車の傷をきれいに治すことが可能です。
しかし、傷のタイプや状態に合わせた補修をしなければ、場合によっては傷が悪化してしまう恐れもあります。そこでここからは、市販の傷消し剤を使用する際の注意点について詳しく解説していきます。
傷のタイプにあったものを選ぶ
まずは自分の車についた傷の状態をよく確かめることです。
「傷の深さはどれくらいなのか」、「どれくらいの範囲に傷ができているのか」、「どのような形状の傷なのか」など、傷のタイプをしっかり把握することが大切です。それによって、最適な傷消し剤を選びやすくなります。
傷のタイプに適していない傷消し剤の使用は、場合によっては傷の状態をさらに悪化させてしまいかねません。
車体のカラーに合わせて傷消し剤も選ぶ
タッチペンやスプレータイプの傷消し剤などには、数多くのカラーが用意されています。傷を目立たなくさせるためには、ボディカラーに合った色を選ぶこともポイントです。
車のボディカラーには、車種やメーカーによってさまざまな色があります。運転席やエンジンルームなどにその車体の色番号が記載してあるので、自分の車の色番号をチェックしておくと良いでしょう。
車体にコーティングが施されている場合は注意が必要
傷消し剤を使って作業をする前に、車体にコーティングが施されているかどうかの確認もしなければなりません。ワックスやコンパウンドに含まれる研磨剤が、コーティングをはがしてしまう恐れがあるためです。
コーティングが施されている車体の場合には、研磨剤の含まれない傷消し剤を選ぶようにしましょう。業者などでコーティングを施工した場合には、傷消し剤が使用可能かどうかを事前に相談しておきましょう。
樹脂やゴムなども、コンパウンドなどによって変質してしまう可能性があります。樹脂製のバンパーやタイヤには、しっかりとマスキングをして保護しておきましょう。
自分で治せる傷かどうかを判断する
傷のタイプや状態によっては、複数の傷消し剤を合わせて使う必要があったり、作業前にサビ取りなどの下準備をする必要がある場合も出てきます。
大きな傷や複雑な傷である場合、補修作業も難しくなるため失敗してしまうことも考えられます。傷消し剤などの必要材料を買いそろえて傷消しをやり直すことになると、結局費用がかさむ結果にもなってしまいかねません。
自分の手に負える傷ではないと判断した場合には、初めから専門業者に修理を依頼することも選択肢のひとつに入れておきましょう。
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傷消し剤の使い方
先述したように、自分で車の傷を治す場合には傷のタイプや、状態に合わせた傷消し剤を使用することがとても大切です。そして、それらの傷消し剤を正しく使うことで、傷をきれいに治すことが可能となるのです。
ここからは、市販の傷消し剤の使い方や必要なものについて詳しく解説していきます。
コンパウンド
コンパウンドの使い方について解説します。
- 用意するもの
- ・コンパウンド
- ・布・スポンジ
- ・マスキングテープ
手順1
車体を洗い、傷についたごみやほこりをきれいに洗い流します。ごみやほこりが付いたままコンパウンドを使用すると、研磨の際にごみも巻き込んでしまい傷の状態が悪化してしまいます。
手順2
水で濡らして固く絞った布やスポンジに傷の状態に合わせたコンパウンドをつけ、傷を磨いていきます。この時強くこすりすぎないよう注意してください。
傷の状態に合わせてコンパウンドの粒子の大きさを粗目から細目へと変えて磨いていきます。粒子の大きさを変える時は、磨く布やスポンジもその都度変えましょう。
手順3
磨き終わったら柔らかい布で残ったコンパウンドを拭きとり、磨いて出た削りかすなどを洗い流して完了です。
ワックス
ワックスタイプの傷消し剤の使い方について解説します。
- 用意するもの
- ・ワックス
- ・スポンジ
- ・拭き取り用の布
手順1
車体を洗い流し、傷についたごみや汚れをきれいに落としておきます。
手順2
水に濡らしたスポンジを固く絞りワックスをつけ、傷のある部分に塗っていきます。この時、ワックスをつけすぎるとムラになりやすいので薄くのばしていきましょう。
手順3
磨き終わったら、柔らかい布で拭き取って完了です。
タッチペン
タッチペンタイプの傷消し剤の使い方を解説します。
- 用意するもの
- ・ボディカラーに合わせたタッチペン
- ・マスキングテープ
- ・割りばし
- ・耐水ペーパー
- ・液体コンパウンド
手順1
洗車して、傷やその周辺のごみや汚れをしっかり落としておきます。
手順2
傷以外の箇所に塗料がつかないようにマスキングテープで養生しておきましょう。
手順3
傷をなぞるように塗っていきます。この時、一気に塗るとムラになるので点を打つように傷を埋めていきます。
タッチペンのペン先よりも傷が細い場合は、割りばしの先に塗料を付けて使用してください。
手順4
塗った部分が乾いたら塗り重ねることを数回繰り返し、傷よりも塗料が盛り上がる程度まで塗り重ねていきます。
最後にマスキングテープをはがし、完全に乾くまで自然乾燥させてください。
手順5
耐水ペーパーで盛り上がった部分を平らになるまで削っていきます。粗目から細目に徐々に変えながら磨いていきます。
最後に液体コンパウンドで磨くと、艶が出てきれいな仕上がりになるでしょう。
スプレー
スプレータイプの傷消し剤の使い方について解説します。
- 用意するもの
- ・スプレー
- ・マスキングテープ
- ・耐水ペーパー
- ・液体コンパウンド
手順1
車体を洗い流し、傷や傷周りについたごみや汚れをきれいに取り除きます。
手順2
傷周りに耐水ペーパーをかけ、表面を滑らかにしておきましょう。
手順3
傷以外の箇所に塗料がつかないように、マスキングテープで養生しておきます。
手順4
ムラにならないように気を付けながら、傷から少し離れたところから数回に分けてスプレーしましょう。
手順5
マスキングテープをはがしてしっかり乾燥させたら、液体コンパウンドで表面を磨いて完了です。
下地用スプレーや仕上げ用スプレーなどを使うことで、よりきれいに仕上げることも可能です。
パテ
パテの使い方について解説します。
- 用意するもの
- ・パテ
- ・マスキングテープ
- ・耐水ペーパー
- ・脱脂スプレー
- ・液体コンパウンド
- ・スプレータイプの塗料
手順1
車体を洗い流し、傷回りのごみや汚れをきれいに取り除いておきます。
手順2
塗料などが飛び散らないように、傷の周りをマスキングテープを使って養生しておきましょう。
手順3
耐水ペーパーをかけて、傷のへこんだ部分を滑らかにしておきます。
手順4
へこみを埋めるようにして、深いへこみから浅い箇所に向かってパテを塗り込んでいきましょう。へこみを埋めることができたら15〜20分ほど乾燥させます。
手順5
パテが乾燥したら、表面の盛り上がった部分を耐水ペーパーで滑らかになるまで磨いていきます。つるつるになるまで磨けたら、脱脂スプレーで余分な油分を取り除きます。
手順6
パテの表面をスプレータイプの塗料で塗装し、最後に液体コンパウンドで磨いて艶を出したら完了です。
スプレータイプの塗料で塗装する前にボカシ剤をスプレーしておくと、スプレーダストによるざらつきを抑えることができます。
シール
シールタイプの傷消し剤の使い方について解説します。
- 用意するもの
- ・傷の大きさに合ったシール
- ・耐水ペーパー
- ・脱脂剤
手順1
車体を洗い流し、傷周りのごみや汚れをきれいに取り除いておきます。
手順2
耐水ペーパーをかけて傷の表面を滑らかにし、脱脂剤で余分な油分を取り除きます。余分な油分が残ったままだと、シールが剥がれやすくなってしまいます。
手順3
空気が入らないように気を付けながら、傷の上にシールを貼り付けて完了です。
ボディの曲面に傷がある場合は、薄く柔らかい素材のシールを使うとうまく貼ることができます。
クロス
クロスタイプの傷消し剤の使い方について解説します。
- 用意するもの
- ・クロス
- ・柔らかい布
手順1
洗車して傷周りのごみや汚れをきれいに取り除いておきます。
手順2
傷をクロスで強くこすりすぎないように気を付けながら磨いていきましょう。
手順3
拭き残しやムラを取り除くために柔らかい布で拭きあげて完了です。
傷消し剤で消すことが難しい傷もある
ここまでは、市販の傷消し剤を使って自分で車の傷の補修をする方法について解説してきました。傷のタイプごとにさまざまな種類が販売されている傷消し剤ですが、すべての傷に対応できるわけではありません。
傷消し剤では対応しきれないような傷の場合には、無理に自分で治そうとするとかえって悪化させてしまうこともあります。そのような傷の場合には、専門業者に依頼することを検討しましょう。
では、どのような状態の傷のときに専門業者に依頼したら良いのでしょうか。
塗装がはがれ下地がむき出しになってしまった場合
車の塗装は、下地・カラー塗装・クリア層の3層構造となっています。このうち、傷消し剤でカバーできるのは一眼表側のクリア層のみです。
塗装膜や下地にまで達している深い傷は、傷消し剤だけで補修することが困難な深い傷になっていることが多いため、専門業者に相談することをおすすめします。
下地が見えるような傷の場合でも、パテやスプレーなどを使って補修を行うこともあります。しかし、傷が深かったりサビが生じている場合などもあるので、専門業者に依頼すると安心できます。
ボディ自体に大きなへこみや歪みが生じてしまった場合
ボディ自体に大きなへこみや歪みができてしまうような傷の場合にも、傷消し剤だけで対応するのは難しいです。
小さなへこみなどにはパテを使用して補修することもありますが、へこみや歪みが大きくなると板金塗装の必要も出てきます。板金塗装のできる業者への依頼は、高い技術も要するため高額となりますが、傷や車体の歪みもきれいに修復してもらえます。
車の傷を治す費用負担を軽減するには
車についてしまった傷は、気分的にもなるべく早く治したいものです。しかし、「高額な修理費用がかかるかもしれない」と思うと依頼することをためらってしまうこともあるでしょう。
ここからは、車の傷を治す費用負担を軽減するための方法について解説していきます。
小さな傷も放置しない
小さな擦り傷がついてしまったときなどに、「これくらいなら目立たないし修理代もったいないからいいや」と放置している人もいるのではないでしょうか。
しかし、小さな擦り傷であっても放置しておくと車の劣化を早めてしまいかねません。塗装が剥がれてしまった箇所に雨や汚れが付着し、サビが生じてしまいます。
傷の状態が悪化してしまうと、当初の小さな傷の時よりも複雑な補修が必要となり、費用も高額になってしまうのです。数千円で済んだはずの費用が数万円になってしまう、ということも考えられるので、小さな傷も放置せず早めに対応しましょう。
車両保険の選び方
擦り傷などの小さな傷でも車両保険を使うことは可能です。ただし、車両保険は選び方によって補償範囲が違うので、車についた擦り傷などもカバーできる保険を選ぶ必要があります。
車両保険には補償範囲の広い一般型と、補償範囲の狭いエコノミー型に分かれているものが多く、エコノミー型の方が保険料は安価です。しかし、エコノミー型の場合は自損の傷の修理費用は補償されません。
一般型の車両保険であれば、自損事故でついた傷だけでなく、自転車との衝突や相手が不明の当て逃げ事故なども補償の範囲内です。
しかし、注意しなければならない点もあります。傷の補修に車両保険を使う場合、原則として保険の等級が下がり、翌年度からの保険料もそれまでよりも高くなります。小さな傷を治す際には、車両保険を使わずに治した方が得になるケースもあるので、保険会社に確認すると良いでしょう。
乗り換えを検討する
車の傷は専門業者に依頼して修理してもらう場合、高額になることも多くあります。何社かに見積もりを依頼して、修理にかかる費用を確認したうえで乗り換えを検討しても良いでしょう。
車の傷は、きれいに補修できていない状態だとかえって査定が下がってしまうことも考えられます。車に傷があっても下取りは可能なので、乗り換えを決めたら自分で補修することはせずに査定をしてもらうほうが良いかもしれません。査定に出す前には洗車や車内の清掃をしておくと良い印象を持たれます。
新しい車ほど燃費性能も良くなっており、環境性能に優れた車両には減税の対象となっているものもあります。そういった車に乗り換えることで維持費の節約にもつながるのです。
まとめ
今回の記事では、車についた傷を自分で治す方法や、市販の傷消し剤について詳しく解説しました。傷のタイプに合わせた傷消し剤を正しく使って自分で補修することで、修理費用を抑えることが可能です。
しかし、自分で治すことにこだわりすぎて、傷の状態を悪化させてしまっては元も子もありません。傷の状態を冷静に判断し、自分の手に負えない場合には専門業者に修理を依頼することも大切です。
いずれにせよ、愛車に気持ちよく長く乗るためにはさまざまな情報を取り入れることが重要なのではないでしょうか。
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