2022年1月13日、8年ぶりのフルモデルチェンジを成し遂げたノアは、よりすぐれたパワートレーンの動力性能、カタログ燃費、先進運転支援機能など、すべてが新しいものになりました。

Mクラスのハイト系ミニバンというのは従来型と変わっていませんが、話題となっているのが全車3ナンバー車になったということです。

ボディサイズはどちらかといえば操作しやすく、条件にふさわしいサイズに抑えられており、加えて燃費性能は大きく改善しています。

ノアを購入しようと思っている方でもやはり燃費がどのぐらいになっているのかというものは気になるのではないでしょうか。そこで、本記事ではノアの燃費について徹底解説します。

目次

新型ノアの各グレードの燃費

ここからはノアの各グレードのカタログ燃費について紹介していきます。ノアに関しては7人乗りでも、8人乗りでも燃費に違いはありません。

それでは見ていきましょう。

グレードS-Z

まずはグレードS-Zです。燃費は以下のようになっています。

ガソリン車 ハイブリッド車
駆動方式 FF 4WD FF E-Four
燃費(WLTCモード) 15.0km/L 14.3km/L 23.0km/L 22.0km/L

グレードS-G

次はグレードS-Gです。燃費は以下のようになっています。

ガソリン車 ハイブリッド車
駆動方式 FF 4WD FF E-Four
燃費(WLTCモード) 15.0km/L 14.3km/L 23.0km/L 22.0km/L

グレードZ

グレードZの燃費は以下のようになっています。

ガソリン車 ハイブリッド車
駆動方式 FF 4WD FF E-Four
燃費(WLTCモード) 15.0km/L 14.3km/L 23.0km/L 22.0km/L

グレードS-Z、グレードS-G、グレードZの燃費は一緒のようです。

グレードG

続いてグレードGです。燃費は以下のようになっています。

ガソリン車 ハイブリッド車
駆動方式 FF 4WD FF E-Four
燃費(WLTCモード) 15.1km/L 14.3km/L 23.2km/L 22.0km/L

グレードX

最後にグレードXです。燃費は以下のようになっています。

ガソリン車 ハイブリッド車
駆動方式 FF 4WD FF E-Four
燃費(WLTCモード) 15.1km/L 14.4km/L 23.4km/L 22.0km/L

多少の違いはありながらも、大体同じぐらいの燃費になっているようです。

新型ノアのパワーユニット構成

新型ノアのパワーユニット構成は、これまでと同様に2リッターと1.8リッター+ハイブリッドの2種類となります。

直列4気筒2リッターエンジンは、ハリアーやRAV4に組み込まれている、高効率なM20A-FKS型ダイナミックフォースエンジンが取り入れられました。最高出力は170ps/6600rpm・最大トルクは20.6kg-m/4900回転となったのです。

WLTCモード燃費は、新型ノアの場合は15.0km/L〜15.1km/Lで、先代ノアの13.2km/L〜13.6km/Lに比較すると、11%〜14%改善されました。

ハイブリッドモデルはすべてを刷新して燃費向上

ハイブリッドについてもシステムが一新されて、モーターの出力を改善、オイルの低粘度化、リチウムイオン電池も新規に開発して、ダウンサイジングされています。

パワーコントロールユニットはエネルギーが有効に利用されず、不要な熱などの形で失われていたのを29%低減しました。

後輪をモーターで駆動する4WDシステムもノアのハイブリッドモデルでは初めての採用となりました。これらの要因が同時に働いて、新型ノアの動力性能が改善したのです。

主に実用域の駆動力も好ましいものへ改められ、停車している状態から100kn/hに届くまでの加速タイムも、先代ノアは12.4秒であったのに対して、新型ノアは11.7秒まで短縮されています。

ハイブリッド・ガソリンともに燃費はカテゴリートップ

新型ノアのパワートレーンは、2リッター直列4気筒のダイナミックフォースエンジン・1.8リッター直列4気筒エンジンと新しく開発された駆動用モーターとを組み合わせた新型ハイブリッドの2種類で、それぞれに2WDと4WD(ハイブリッドはE-Four)が設定されています。

燃費は15.1km/L(WLTCモード・2WD仕様)と、ハイブリッドに比べると良くないように見えますが、それでもクラストップレベルで燃費は良いです。

1.8リッターエンジンとモーターを組み合わせた新しい世代のハイブリッドは、プリウス、カローラシリーズに組み込まれているシステムを大幅に改善したものになります。

新規モーター、新規リチウムイオンバッテリー、新規パワーコントローラーと、あらゆる電動モジュールを全く新しいものにしたのです。

動力、レスポンス、静粛性、そしてクラストップレベルの23.4km/Lもの低燃費な走行を実現させました。

ハイブリッドモデルは23.0km/Lを実現

ボディサイズはあまり変化していないとして、車重はハイブリッドで比較してみると先代ノアハイブリッドのエアログレードSi(2WD)は1,620kg、新型ノアハイブリッドのエアログレードS-G(2WD)は1,630kgで、その差は10kgとわずかに増えています。

ボディサイズ・車重がほんのすこし上昇しているのであれば、燃費はどのようになっているのでしょうか。

組み込まれているパワーユニットはガソリンエンジンが2リッター直列4気筒、ハイブリッドは1.8リッターガソリン+モーターで、この点については新しいものと古いもので変化していません。

ガソリンエンジンについてですが、先代ノアの3ZR-FAE型から高効率なM20A-FKS型ダイナミックフォースエンジンに変更しました。その結果、最高出力は152psから170psに、最大トルクは19.7kgf・mから20.6kg-mへと性能が大きく上昇しているのです。

燃費も2WDのWLTCモード燃費は15.0km/Lで、先代ノアと比較して13.2km/Lから15.0km/Lと約13%も改善しており、1,600kg程度の車重があるガソリンエンジンのMクラスミニバンでこの数値は驚くほど素晴らしいといえるでしょう。

先代ノアと基本は同一の型式であるハイブリッドのスペックは、エンジンの最高出力98ps、最大トルク14.5kgf-m、フロントモーターの最高出力90ps、最大トルク18.9kgf-mとなっています。

先代ノアハイブリッドに比較するとモーターの出力は82psから90psに上昇していますが、トルクはほんのすこし下がっているのです。

総合的なスペックはほぼ変化していませんが、ハイブリッドシステムの制御についてはより細かいところまで注意が行き届いています。燃費性能についてはガソリンエンジン以上に大きく改善しているといえるでしょう。

先代ノアハイブリッド(2WD)のWLTCモード燃費が19.0km/Lであったのに対して、新型ノアのハイブリッド(2WD)のWLTCモード燃費は23.0km/で、なんと20%以上も改善されています。

ノアの視覚的特徴

ノアはミニバンの中ではかなり低燃費な部類ではありますが、他のトヨタ車と比べると少し物足りない感じがします。しかし、ノアは燃費が目立たない分他の部分でかなり乗りやすい車になっています。ここからはノアの特徴について述べていきます。

鮮やかな装いが近代的なデザインへと進化

ノアはタウンエースノアであった時期を含めて歴代すべてが人気モデルであっただけに、このたびのフルモデルチェンジは非常に関心をもって見守られていました。

予測されていたとおり、美しさ、斬新さ、使いやすさ、使い勝手の良さが具体的な形に落とし込まれているデザインが話題となりました。

これまでよりもボックス型のミニバンらしさを特に強く主張した、ボリューム感のあるフォルムとなっています。初見の印象はボディが大型化されたような見た目で、フロントマスクも鮮やかでありながら、他と比較しても異なる個性をもっている出来映えだということです。

ノアは兄弟車のヴォクシーと異なり、標準モデルとエアロモデルが設定されています。

標準モデルではボディと系統が同じ色のバンバーグリル、銀色に発色し美しい金属の発色を得られるクロームメッキのフロントグリルとなっていて、細くて長いランプを組み合わせた装いがすっきりと近代的な印象です。

その容姿に現れるどっしりとした立派さを感じさせる造形は、これまでの優等生的な標準ボディのノアと比較しても異なる個性をもっているといえるでしょう。

エアロモデルのバンパーグリルに施されたメッキ仕様は、花が開いたように明るく人目を惹きつけます。バンパーグリル部分の広さが大きくなっていて、風采も強く感じられ、見る人の心を間違いなく鷲掴みにすることでしょう。

ごつごつして、やわらかみがない強気な性格の顔が好きという方には特に魅力的なものとなるでしょう。

基本的な顔のデザインは同様でありながら、バンパーの形や、細かい部分に装飾的要素を追加することで、今までとは一風変わった印象を受けます。

「どちらのタイプもノアらしく品質がよい」といった印象を抱かせる雰囲気のある上質な出来映えとなっていて、兄弟車であるヴォクシーのクールでスタイリッシュな感じとはかなり異なっています。

5ナンバー廃止ですべてが3ナンバー|どれほど大きくなったのか

外観を軽く一瞥した際の印象は大きくなったような新型ノアですが、実際のところボディサイズは変化しているのでしょうか。

先代ノアは標準モデルが5ナンバーサイズ、エアロモデルが3ナンバーサイズとグレードによってボディサイズが異なっていました。一方、新型ノアではすべてのグレードが3ナンバーサイズとなっていて、今まであった5ナンバーサイズは廃止されました。

先代ノアの標準モデルのボディサイズは、全長4,695mm、全幅1,695mm、全高1,825mmの5ナンバーサイズ、新型ノアではすべてのグレードのボディサイズは、全長4,695mm、全幅1,730mm、全高1,895mmの3ナンバーサイズとなっているのです。

全長は変わらず、全幅が35mm、全高が70mm大きくなりました。

先代ノアのエアロモデルであるSiグレードは3ナンバーサイズで、全長4,710mm、全幅1,735mm、全高1,825mmと、全長と全幅については新型ノアのエアロモデルよりも大きかったです。

すべてが3ナンバーサイズになったといわれると、ボディサイズが大きくなった感じがありますが、現実には先代と新型でサイズ感はほぼ違いはなく、エアロモデル同士ならどちらかといえば小さくなっているといっていいかもしれません。

3ナンバーサイズで室内は広がっているのか

新型ノアでは車体の基礎をかたちづくる中心が新しいTNGAプラットフォームとなり、ボディ側面はこれまでよりもまっすぐ縦になっているデザインを採用しています。

左右のリアドア後方のピラー(Cピラー)間の長さが75mmも広がって大きくなっていて、その分左右の室内空間は広がりました。

セカンドシートのスライド量も大幅に広がって大きくなりました。キャプテンタイプの7人乗り仕様のセカンドシートでは745mmもスライドでき、8人乗りの3人掛けシートでも705mmもスライドできるのです。

7人乗りのキャプテンシートには、オプション装備として、クラスで初めてとなるオットマン、シートヒーターを装備できるグレードも登場しました。
特に7人乗り仕様のキャプテンシートは間違いなく座り心地の良い席です。

時間や手間をかけないでサードシートを跳ね上げることが可能になったという点も見逃せません。

操作するレバーを引くだけで3列目が自力で左右へと跳ね上がり、サイドウィンドウ側へ押し込むだけでロックされ、動かないようにすることができます。先代のノアも、自らの力でのシート跳ね上げはありましたが、動かないようにするにはベルトを使わなければなりませんでした。

新型はより簡単に3列目シートをしまっておけるようになっているので、荷物を積むのが容易になりました。

バックドアがフリーストップバックドアとなって、開けた時に動かないように手で押さえるとその位置で止まってくれるので、狭い場所での荷物の出し入れが安全かつ容易にできるようになりました。

ちょっとしたことですが、荷物も多くなりがちな子供のいるファミリードライバーにとって、この新しい機能は非常にありがたいことでしょう。

他にも、パワースライドドアが取り付けられた助手席側後席ドアにはユニバーサルステップが採用されました。自動格納型のステップで、スライドドアをオープンすると自動的にあらわれ、クローズすると格納されるというものです。

小さい子供やご高齢の家族がいる方は後席への乗降がまちがいなく楽になりますので、こちらも是非取りつけておきたい装備といえるでしょう。

新型ノアのADAS(先進運転支援機能)は大幅にバージョンアップ

安全装備は衝突被害軽減ブレーキが作動するToyota Safety Senseに、プロアクティブドライビングアシストが加わりました。

衝突被害軽減ブレーキは危険が身に迫った際に作動しますが、プロアクティブドライビングアシストは、これから起こるであろう危険を予測します。

例えば、路肩上を歩いている人を検知すると、危険を察知し、速度を落としたり操舵を支援します。危険に近づかないための装備といえるでしょう。

衝突被害軽減ブレーキ(プリクラッシュセーフティ)もより優れたものになり、自車が右左折する際に直進する車両、道路上を歩いている人、自転車を検知します。

見通しの悪い交差点で左右の方向から接近してくる車両を検知するフロントクロストラフィックアラートも加わりました。

新型ノアには、先代ノアにはなかった、走行中に安全な車間距離を保ち車を自動的に制御できる全車速追従型クルーズコントロールなどが組み込まれています。

自動駐車の機能も大幅にアップ

自動的に車庫入れするアドバンストパークも非常に注目されています。駐車する場所の前側に車両を止めて、モニター画面で駐車する場所を確かめてスイッチをオンにすると、ATレバーを前後に切り替えることも含め、あらゆる操作がサポートしてもらえます。

リモート機能もアドバンストパークの上級装備として用意され、スマートフォンを利用して車から降りた状態でも操作可能です。

操作は乗車している場合と同様で、アドバンストパークを操作してスマートフォンの画面に表示されたダイヤルを回転させ続けると車庫への出し入れが行われ、操作を中断すると車も止まります。

車庫入れをするのに重宝で役に立つ機能となっていますので、ディーラーなどで実際に体感してみてはいかがでしょうか。

リモート機能はハイブリッド車のみの設定で、126,500円〜143,000円(税込)のオプションとなっています。

ガソリン車とハイブリッド車の特徴

大幅な進化がみられるノアですが、実際ガソリン車とハイブリッド車はそれぞれどのような進化をしたのでしょうか。ここからはそれぞれの特徴について解説していきます。

ベストバランスに仕上がったガソリン2WD

ホワイトパールのボディカラーと光り輝くフェイスの組み合わせはまばゆく清潔な印象です。

205/55R17サイズのタイヤを取りつけた切削光輝の専用ホイールは、見れば見るほど美しさを感じることができるでしょう。

一般道を30km/h程度で走らせると道路の表面の凹凸からのバイブレーションが、相応に室内空間へと伝わってきます。

60km/hにまでスピードを上昇させると振動はほとんど気にならなくなります。外観がよく見えることを重視した17インチ55扁平タイヤは、やや過剰に高性能であるようにも思えるという方もいるかもしれません。

60km/h程度の中速で走らせるまでのロードノイズはこの上なく静かで、外部の音が聞こえてこないような高精度の遮音性を実現しています。無益なノイズをキャビンへ入れないというトヨタ車の性能が生きているといえる点でしょう。

加速した際のエンジン音も無駄なエンジンノイズというよりも、思わず聞き入ってしまうエンジンサウンドと表現したほうが、ぴったり当てはまるくらい心地よいサウンドです。

凹凸がある一般道での直進性についてもの足りなく感じることはありません。センタリング性が高く、状況に合わせた操舵力を持つ電動パワーステアリングによって、非常に快適に走らせられます。

ガソリン2WDモデルは最も重量が軽い(ハイブリッドはプラス50kg程度・4WDはプラス50kg程度)こともありますが、値段も安価で、誰が走らせてもほどよく調和する最善のバランスとなっています。

リアゲート、サイドドア開口部の圧縮、ずれなどの外力に対する物体の変形しにくい性質を高めて完成度を高めています。車体がしっかりとしていて、壊れにくくできていることが感じられるでしょう。

期待値が高いハイブリッドには気になる点も

諸々の性能を記載した諸元表では最高レベルの出来映えといえるハイブリッド車は、かなり優れた性能ですが、期待値が高かっただけにもの足りなく感じてしまうという方もいるでしょう。

ハイブリッド2WDに取りつけられているタイヤサイズは205/55R17で、発進する際の静粛性能がいいのに加え、加速する際は力がこもっていて頼もしく感じられます。

乗り心地も落ち着きのある重々しい印象となっているので、ガソリン車で感じるような不規則な揺れは感じにくいでしょう。60kg程度の動力用リチウムイオンバッテリーが地面から近く位置していて、車体が重くなったことも影響しているのかもしれません。

道路の曲がり角手前でアクセルを離した際、自動的に速度を落とすプロアクティブドライビングサポートは非常に有能です。センサーが前方の曲がり角を検知して自動的に減速するので、アクセルとブレーキを踏み換えることが少なく済みます。

ハイブリッドE-Fourはハイブリッド2WDよりもいっそう重たさを感じるので、アルファード、ヴェルファイアクラスの車を走らせているような落ち着いた乗り心地となっています。

ハイブリッド車はボディが重い分、ガソリン車と比較して小刻みにはねるような乗り心地にはならないので、乗り心地はハイブリッドE-Fourが最も快適です。

加速するためにアクセルペダルを踏み込むと、1.8リッターエンジンが盛大に鈍く低い音を長く響かせます。この点は人によって、2リッターガソリンエンジン車の音のほうが好みだという方もいることでしょう。

しかし、燃費効率・加速性能などの他の部分に関しては圧倒的にハイブリッドモデルのほうが優れているので、音に関してはあまり気にならないという方も多いでしょう。

まとめ

ハイブリッドシステムそのものはほぼ先代で採用したコンポーネンツを再び採用されているにもかかわらず、燃費が20%以上改善しているというのは驚くべきことです。

燃料費ががひどく上がっている昨今、燃費が低いに越したことはありません。

先代ノアハイブリッドモデルに比較してハイブリッド(2WD)のカタログ燃費は23.0km/L~23.4km/L(WLTCモード燃費)で、先代ノアハイブリッドのカタログ燃費は19.0lm/L~19.8km/Lでしたので、20%以上改善しました。

先代ノアから新型ノアに乗り替えると、燃費数値上では燃料費を15%以上節約でき、新型ノアハイブリッドは、動力性能と燃費の両者をともに大きく改善させたのです。

ただ燃費がいいだけではないハイブリッドになっているという点に大きな価値があると感じました。

先代と比べて大幅に進化しているノアが気になった方は、ぜひ試乗して、その進化を肌で感じてみてください。