世界中の自動車メーカーが、様々な環境に優しい自動車開発に力を入れています。日本が世界に誇る自動車メーカートヨタ自動車も、自社独自開発の燃料電池車を2020年にモデルチェンジしました。

他社に遅れることなく、環境に優しい自動車開発に着手できています。トヨタが作っている燃料電池車と言うと、MIRAIという車種です。

MIRAIは水素を酸素と化学反応させ、発電してモーターを動かす仕組みの車で、二酸化炭素を全く排出しません。水素を使った電気自動車という枠組みの車なのです。

しかし、MIRAIの燃費はあまり良くないという噂も耳にします。一体MIRAIの燃費はどれくらいなのでしょうか。そこで本記事では、MIRAIの燃費について徹底的に解説していきます。

【グレード別】MIRAIのカタログ燃費

自動車の燃費を知るうえで、メーカーがカタログに表記しているカタログ燃費を参考にするのが一般的です。カタログ燃費はグレードによって異なることもあります。ここではMIRAIのグレード別のカタログ燃費をまとめてみました。

カタログ燃費の表記方法

そもそも、カタログ燃費を測る時には、以下の方法で行われます。

  • エアコン、ライトを使わずに走行する
  • 平坦で真っすぐな渋滞のない道路を仮定した状況で走行する

これらの条件を室内空間で作り出し、国が定める走行パターンで車を走らせ、その時の燃費を自動車メーカーが計測します。そして、その結果を国が審査し、間違いが無ければその結果がカタログ燃費として、メーカーのカタログに掲載されるのです。

実際に一般道を走らせるわけではないので、カタログ燃費と実燃費の数値は大きく乖離することもあります。ただ、どの自動車も同じ条件で測定されているため、相対的にどの車種が燃費がいいのかを確かめるのには、かなり信用できる数字といえるでしょう。

実際に自動車を購入し、実生活で乗ってみると思った以上に燃料費がかかってしまうこともあります。カタログ燃費はあくまでも、燃費の目安として捉えておくようにしましょう。

どんなシーンで乗ることが多いのかを、考えて燃費をイメージしてみましょう。

グレードごとのMIRAIのカタログ燃費

MIRAIには大別して「Gグレード」と「Zグレード」があります。Gグレードの方がスタンダードでシンプルなグレードとなっていて、Zグレードは高級車を意識したグレードです。
それぞれのグレードで、カタログ燃費が異なるので、見ておきましょう。

G 152km/kg 2WD トヨタFCスタック+モーター 5人乗り
Z 135km/kg 2WD トヨタFCスタック+モーター 5人乗り

このように、GグレードとZグレードでカタログ燃費は1km当たり1円の差があります。

G

さらにGグレードの中にも、より高級なオプションがパックされたG“A Package“、そしてパーキングサポートブレーキなどのオプションが組み込まれたG“Executive Package”という上位グレードがあります。それぞれの燃費は以下の通りです

G 152km/kg 2WD トヨタFCスタック+モーター 5人乗り
G“A Package“ 152km/kg 2WD トヨタFCスタック+モーター 5人乗り
G“Executive Package” 152km/kg 2WD トヨタFCスタック+モーター 5人乗り

このように装備は異なりますが、カタログ燃費上の違いはありません。

Z

Gグレード同様、ZグレードにもZ“A Package“、Z“Executive Package”の2つの上位グレードがあります。こちらも同様に表にまとめました。

Z 135km/kg 2WD トヨタFCスタック+モーター 5人乗り
Z“A Package“ 135km/kg 2WD トヨタFCスタック+モーター 5人乗り
Z“Executive Package” 135km/kg 2WD トヨタFCスタック+モーター 5人乗り

Zグレードに関しても、Z“Executive Package”とZの間でカタログ燃費の違いはありません。特に購入時に細かく燃費の事を気にする必要はなさそうです。

MIRAIの平均実燃費

MIRAIのカタログ燃費については、かなり詳しくご理解いただけたはずです。1000km走行するのに、7,700円から8,800円程度かかるので、ある程度燃料費はかかりそうです。ここからは、MIRAIの実燃費について見ていきましょう。

実燃費とは?

前述した通り、その車種の燃費はメーカー表記のカタログ燃費で購入時の参考にすることが出来ます。しかし、実際に車を購入して一般道を走る時は、坂道も登りますしストップアンドゴーの回数も増えます。なので、メーカー記載のカタログ燃費と実燃費は異なることが多いです。

そこでここからは、MIRAIの実燃費について、詳しく解説していきます。

MIRAIの平均実燃費

MIRAIの実燃費は、Gグレードの場合102.938km/kgです。カタログ燃費と比べて1kgあたり、50kmほど下がってしまっています。

ただし、水素自動車は、一般的なガソリン車と比べて実燃費に差が出ることが多いと言われてします。あくまでも一般的な参考値として認識しておいてください。

MIRAIの燃費を良くするための装備

MIRAIは燃料電池車なので水素を充填させ、その水素で電気を発電してモーターを回転させます。水素動力は、まだまだ燃費性能が悪いとされていますが、最新モデルではいくつかの燃費を上げる工夫がされています。

ここからは、MIRAIでどのような工夫がなされているか、詳しく見ていきましょう。

燃料電池ユニット

MIRAIの燃費を良くするための1つ目のポイントは、燃料電池ユニットです。最新のMIRAIは、全モデルよりもFCスタック、FC昇圧コンバーターなどのパワーコントロールユニットを小型化高性能化しています。

そのため、燃料電池の持ちがいいです。モーターへの出力もスムーズに伝わるため、効率的に電気を動力に変えられるでしょう。

トヨタが独自に開発した、この燃料電池ユニットは燃料電池車では世界最高峰の出力だともいわれているのです。燃料電池のリニューアルで、MIRAIの燃費性能は確実にレベルアップしているといえるでしょう。

高出力モーター

MIRAIの燃費を良くするための2つ目のポイントは、高出力モーターです。MIRAIの最新モデルには、トヨタが新開発した高出力モーターが搭載されています。その出力は134kwになります。

アクセルを踏み込んだ瞬間から最高速度に達するまで、無駄のないスムーズな加速を維持しています。もちろん、最小限の電力でパワーが発揮されるように計算されているので、消費電力の無駄もありません。

 

どの速域でも満遍なくスムーズな加速減速ができるように設計されているので、ストレスを感じないようなドライビングフィールを体感できるでしょう。

静音性も高いので、静かで快適なドライブを楽しみやすいです。

 

駆動用バッテリー(2次電池)

MIRAIの燃費を良くするための3つ目のポイントは、2次電池の駆動用バッテリーです。MIRAIには駆動用の2次電池が搭載されています。これは高性能のリチウムイオンバッテリーを超小型化させたもので、減速時の回生エネルギーで充電される仕組みになっています。

この駆動用バッテリーの電力は、FCスタックで加速する際にサポートする役目があります。主電源の燃料電池ユニットだけで加速すると、水素燃料の減りも早いですが、2次電池を併用することで、燃料消費を最大限に落としています。

先代のMIRAIに搭載されていた2次電池よりも高性能高出力になっているので、よりMIRAIの燃費性能を高められているのです。

燃費の良し悪しの決め手

自動車の燃費は走行シーンによって同じ車でも変わります。日常に運転する際のシーンを具体的に挙げ、その際の注意点などを詳しくまとめてみました。いくつかのことを気をつけるだけで、燃費良く走行することができるでしょう。

市街地走行

MIRAIは市街地を走行する際に、最も燃料を使ってしまいます。これはガソリン車も同じことです。市街地では交差点の度に赤信号で止まってしまうこともあります。何度も加速と減速を繰り返すでしょう。

MIRAIも加速時には最も電力を使ってしまうので、できるだけ渋滞していない場所を走行すると燃費はかなり向上します。発進の際にゆっくりと加速をするだけでも、燃費は向上するでしょう。

時速20kmまで上げるのに、5秒程度時間をかけると、燃料消費を10%も抑えられるともいわれています。市街地走行の際の加速減速の意識を少し変えるだけで、燃費はかなり変化するでしょう。

高速道路走行

高速道路の走行の仕方でも、燃費がかなり変わることがあります。ポイントは以下の通りです。

  • 急な加速をしない
  • 出来るだけ一定の速度で走る

自動車を急加速したり急な減速をしたりし続けると、MIRAIもガソリン車同様、燃費が悪くなります。また、出来るだけ一定の速度で走ることを心がけるだけで、かなり燃費は良くなるので覚えておきましょう。

高速道路では、無理な追い越しを連続していると燃費が悪くなる可能性は高いです。法定速度を守った運転を心がけてください。

平坦な道と坂道走行

MIRAIを運転する際には、坂道走行の際にアクセルを踏み込み過ぎないことを意識すると、燃費が良くなります。坂道をきちんと登ることが前提ですが、上り坂の際などにできるだけ追い越しをかけないような運転をすると、燃費は良くなるでしょう。

また、平坦な道を走っている際にも、出来るだけアクセルを踏み込まないシーンをつくり出せれば、さらに燃費は良くなります。

ちなみに、MIRAIにはBrモードという機能が付いたエレクトロシフトマチックが採用されています。このBrモードは、ガソリン車で言うエンジンブレーキをかけるような機能です。下り坂でBrモードを上手く使いこなすと、燃費向上につながるでしょう。

エアコンの使用

燃費を良くしたいのであれば、エアコンの使用についても意識しておく必要があります。エアコンを使用すると、自動車の燃費は悪くなります。これはガソリン車に限らず、ハイブリッドカー、電気自動車、燃料電池車全てに共通することです。

通常自動車のエアコンをつけると、室内を冷やすためのエアコンガスがコンプレッサーという機械で圧縮され、エアコンの排出口から出てきます。

コンプレッサーを稼働させる際に、MIRAIの場合は先に2次電池の電力を使いますが、場合によっては2次電池の電力だけでは賄えない場合もあります。

その際、主電力のバッテリーから電力消費が行われるため、通常の走行の燃費に影響してくるというわけです。ガソリン車では燃費に、最大10%程度の影響があるといわれているので、MIRAIでもそれに近いぐらいの影響は考えられるでしょう。

オーディオの使用

カーオーディオを継続して使うと、燃費が悪くなると思っている方も多いですが、純正のカーオーディオ程度ではそこまで燃費に影響がないといわれています。

ただ、MIRAIの動力は電気なので、後付けでカーオーディオを増設している場合、消費電力によってはモーターの駆動に影響を与えます。そのため、カーオーディオを沢山使うとある程度の燃費への影響があるでしょう。また、カーオーディオ自体にも相当な重さがあります。

トヨタ自動車でさえも、「カーオーディオの重さが燃費に与える影響は永遠の課題だ」と言い切るほどに、カーオーディオの重量は燃費と密接に関わっているのです。

過度にオーディオをカスタマイズしてしまうとその分燃費は悪くなってしまうでしょう。

メンテナンス状況

通常のガソリン車であれば、エンジンオイルを定期的に交換しないと燃費が悪くなります。しかし、燃料電池車であるMIRAIではエンジンオイルの交換は必要ありません。そのため、定期的なメンテナンスの中からオイル交換の作業は割愛されるでしょう。

ただ、MIRAIにはミッションが使われています。その分ミッションオイルの定期交換は必要です。ミッションオイルを定期的に交換しなければ、スムーズな変速機の稼働をしなくなるので、燃費性能にも多少は影響があるでしょう。

ミッションオイルは2万kmに1度交換するのが一般的です。走行距離がそれくらいに達したら、交換するようにしましょう。

その他、タイヤの空気圧の低下でも燃費は悪くなります。1月に1度の空気圧点検を受けて、タイヤの空気圧が基準値を下回らないようにしましょう。

停車中のアイドリング

MIRAIの燃費を少しでも抑えたいのであれば、停車中のアイドリングを減らしましょう。停車中にエンジンをかけっぱなしにして、アイドリングしてもそこまで多くの燃料を使うことはありません。

しかし、燃料消費はゼロではないため、段々と水素燃料が減ってしまうでしょう。走行とは関係のないところで燃料を使ってしまうため、総合的に見て燃費が悪くなります。

MIRAIのガソリン代はどれくらいかかるのか

環境にやさしい車のMIRAI。二酸化炭素は全く排出されませんが、家計への負担はどうなのでしょうか。ここでは、年間走行距離に応じたMIRAIにかかる燃料費を、概算で算出してみました。

年間3,000kmの燃料費

MIRAIを年間3,000km程度走った場合は、これぐらいの燃料費になります。ここでは、比較的燃費のいいGグレードを対象に計算してみました。

1km走行時のカタログ燃費 年間の燃料費の計算式 年間の燃料費
Gグレード 7.8円 7.8円 × 3,000km 23,400円

Gグレードは、1km当たり7.8円の燃料費がかかります。なので、そこに3,000をかけ、年間の燃料費は23,400円くらいになるのではないかと、思われます。

年間3,000kmということは、1日に8km程度運転する計算。主婦の方が毎日のお買い物に使われると、これぐらいの燃費がかかりそうです。
ただ、どうしても街乗りのパターンが増えるでしょうから、実燃費に換算するともう少し燃費は悪くなるかもしれません。

年間5,000kmの燃料費

MIRAIを1年間で5,000kmくらい走行した場合も、同様に計算してみました。分かりやすくするため、こちらもGグレードのみで計算しています。

1km走行時のカタログ燃費 年間の燃料費の計算式 年間の燃料費
Gグレード 7.8円 7.8円 × 5,000km 39,000円

こちらも同様に、カタログ燃費の1kmあたり7.8円に、走行距離の5,000kmを掛け合わせて算出しています。年間で4万円以下に抑えられるので、家計への負担は殆ど無いと考えて良いでしょう。

年間に5,000kmとすると、片道7km圏内の場所へ通勤された場合の、走行距離です。職場がお近くの場合であれば、毎日MIRAIに乗っても、4万円程度しか燃料費はかかりません。

ただ、休日に長距離の移動を考えられているのであれば、もう少し上乗せされてくるので、注意しましょう。都市部への通勤の場合は、渋滞もあるのでそのあたりも考慮しなければいけません。

年間10,000kmの燃料費

1年間で10,000kmMIRAIを走行させた場合は、以下のような燃料費がかかります。

1km走行時のカタログ燃費 年間の燃料費の計算式 年間の燃料費
Gグレード 7.8円 7.8円 × 10,000km 78,000円

こんな感じで、1年間に8万円以下には抑えられそうです。10,000kmと言うと、毎日14kmくらいの圏内を通勤するくらいなので、地方都市に住む一般の会社員の方はこれぐらいの燃料費になる可能性が高いです。

ただ、ある程度長い距離の通勤になるので、さらに1kmあたりの燃料費が安くなることが考えられます。そうした場合には、もっとリーズナブルにMIRAIに乗ることが出来るでしょう。

一定のスピードで運転することを心がけると、かなり燃費はいいです。

MIRAIの燃費を良くするためには?

MIRAIを極力いい燃費で乗ろうと思うと、どんなことに気を付ければいいのかをまとめてみました。ガソリン車にも共通する事ですが、これらの基本をしっかり押さえて乗るようにしましょう。

燃費を良くする方法①急発進、急加速を控える

燃費を良くする方法1つ目は、急発進急加速を控えることです。自動車は発進してから十分な速度を得られるまでの間に、多くの燃料を消費します。

その際に急激にアクセルを踏み込み、無理な発進をしてしまうと、より多くの燃料を消費するようになっているのです。確かに急発進や急加速をすると、ドライバーは気持ちいいですが、燃費面ではかなり悪影響を及ぼしてしまいます。。

出来るだけ燃費よくMIRAIを乗りたいのであれば、高速運転時に追い越しを何度もするのも控えた方がいいでしょう。追い越しする際の急加速も燃料消費の一因となります。

前述した通り、走り始めの時速20kmまでを5秒程度時間をかけると、かなりの燃料費節約に繋がるでしょう。

燃費を良くする方法②郊外の渋滞しにくい道で乗る

燃費を良くする方法の2つ目は、郊外の渋滞しにくい道で乗ることです。自動車の燃料は、何度もストップアンドゴーを繰り返すことで、急激に減っていきます。急発進をしていなくても、多くの燃料を消費するのです。

特に都市部では毎日のように大渋滞が起こります。渋滞の際には、信号待ちの間の無駄なアイドリングもおこりますし、ストップアンドゴーの頻度も高いです。

可能であれば渋滞しがちな都市部の道路の運転は避け、多少回り道でも郊外の道路を使った方が、燃費面ではいいかもしれません。

どうしても都市部でしか運転しない場合は、この辺りの節約は難しいでしょう。

燃費を良くする方法③定期的に車両のメンテナンスをする

燃費を良くする方法の3つ目は、定期的に車両のメンテナンスをすることです。MIRAIでしたほうが良いメンテナンスは以下の通りです。

  • 2万kmごとのミッションオイルの交換
  • 1カ月に1度のタイヤの空気圧の確認

MIRAIは燃料電池車なのでエンジンオイルの交換がありません。ただ、ミッションは使われているので、ミッションオイルは定期的に交換するようにしましょう。

また、タイヤの空気圧の点検は出来るだけ小まめに行うのがおすすめ。ガソリン車同様に1カ月に1度は点検しましょう。タイヤの空気の量は、自動車の燃費に大きく関わっています。

燃費を良くする方法④無駄なアイドリングをしない

MIRAIの燃費を良くする方法の4つ目は、無駄なアイドリングはしないことです。特に夏場や冬場は、車に乗って待機している時に、暑さ寒さ対策としてアイドリング時間を増やしてしまいがちです。

アイドリングしている間に消費する燃料はわずかですが、確実に段々と燃料が減っていきます。特に後付けでカーオーディオなどを取り付けていたりする方は要注意です。

ガソリンエンジン車と異なり、燃料電池車は電気が動力源です。アイドリングしてカーオーディオを沢山使っているだけで、かなりの電力を消費してしまう可能性もあります。

エアコンと併用すると、消費電力はより高くなってしまいがちなので、できるだけアイドリングをしないようにしましょう。

まとめ

最新モデルのMIRAIはそこまで燃費が悪い自動車でもないことが、わかっていただけたのではないしょうか。

確かに、水素ステーションの場所は限られますし、水素の価格もまだまだ安いとはいえません。さらに、MIRAI自体の車両価格もかなり高額です。

とはいえ、二酸化炭素は全く排出しないですし、走行時のノイズも非常に少ないのがMIRAIの魅力です。燃費面も加味して見ると、MIRAIに乗るメリットは非常に大きいといえるでしょう。

今後、水素ステーションは全国にもっと増えてくるでしょうし、水素の価格も下がっていくとみられています。本記事でMIRAIが気になった方は、一度横浜トヨペットで試乗してみてはいかがでしょうか。